終わってみたら5人でのコントは、新鮮さと同時に難しさも感じさせるものだった。例えば、「5人の見せ場などバランスを考えすぎるとネタの焦点がボヤけてしまう」のように、10分弱のコントで全員の魅力を見せるのは難しい。実際ほとんど出番のない芸人が何人かいたし、そもそも稽古のスケジュールを合わせることすらハードルが高いからだ。
それでも「自分1人だけが迷惑はかけられない」という不安は強く、また5人でやり遂げることについて山内は「達成感がすごい」と語っていた。さらに、小峠も他チームのコントを見て「一夜限りでやるネタじゃない」と絶賛し、朝日も「『この5人をもう見られない』という寂しさ」とコメント。一夜限りのチームだから価値が高いとも言えるが、「もっと続きが見たい」と思わせるものがあったことは間違いない。
「お祭りムードや華やかさをガチンコ感が上回る」といういい意味での誤算こそあったが、それ以外では制作サイドの狙いが当たりまくっていた。なかでも真っ先に目を引いたのはキャプテンの人選。「飛ぶ鳥を落とす勢いの山内」「番組をかき回せる大悟」「唯一、相方がメンバーにいる小峠」「1度もネタを書いたことがない春日」「相方がアメリカに行ってからブランクがある又吉」と、人気と実力、キャラクターと年齢層、所属事務所など、セレクトのバランスがドラフトとコント本番、両方の笑いにしっかりつながっていた。
構成も、ドラフト会議、コント本番とピークが2回あり、さらにそれは両方ともロングトーン。コントのクオリティが高く、「遊んで逃げる」ようなネタがなかったことも含め、画面から放たれるエネルギーは『史上空前!!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ』(TBS系)より高かったのではないか。
第1回の放送前から番組名に「2021」とつけられていたことが、企画そのものへの期待と自信を感じさせたが、この内容と評判なら来年の開催も間違いないだろう。裏を返せば、「いろいろ大変だから、もっとやりたいけど年1回程度がベター」ということなのかもしれない。ともあれ、反省点がブラッシュアップされるであろう次回を楽しみにしている人は多いはずだ。
■次の“贔屓”は……生放送で芸人のネタ動画を拡散『有田バズレーション!』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、4日に放送されるTBSのバラエティ特番『拡散!芸人ネタ動画 有田バズレーション!』(14:00~)。
同番組は、「我こそはバズりたい」という芸人たちのネタ動画を各界・各世代の拡散力あるゲスト審査員が視聴。「おもしろいと思うネタ動画を自らのSNSアカウントで拡散していく」という斬新なネタ番組であり、生放送だけにバズっていく様子をリアルタイムで体感できる。
インフルエンサーたちの拡散力によって土曜14時台という時間にどれだけの効果が得られるのか。もちろん芸人たちにとってはチャンスの場だが、テレビ局にとっても試金石になりうる実験的価値の高い番組になるだろう。