その17時間後、深夜帯の『モヤさま』が「キャパシティが心配です」というナレーションからスタート。しかし実際のところ、『モヤさま』は12年半ぶりに金曜深夜時代と同じ30分枠に戻り、放送時間が半減し、朝と深夜を合わせるとその長さはほぼ変わっていない。このナレーションは「『心配です』と自虐する腰の引けたスタンスでいきますよ」ということだろうか。
3人は中浦和駅周辺をブラブラ歩き、道路に面した謎のガレージ・リビングを発見。造園会社の社長が自宅横のガレージをリビング風に改造して仲間と過ごしているそうで、特製のけんちん汁を振る舞ってくれた。
けんちん汁を食べた田中アナが「失礼ですけど、想像以上にすごくおいしいです」と微妙なホメ方をすると、三村が「恒例の関西弁でお礼を」とムチャぶりを発動。このところ“おいでやす田中”アナとして関西弁を披露しているのだが、ここでは「染みとる」というコメントでスベってしまった。
続いて3人は「おもちゃカフェ ブロックはかせ.LABO」に入店。「ブロック歴30年」の職人に自分に似せたブロックを作ってもらった田中アナは、表情を寄せてアホ顔を何度も披露した。やはり「控え目で礼儀正しいスタンスでいながら、必要なときだけノリのよさを見せる」というアシスタントアナの伝統はしっかり引き継がれている。
ただ、「田中アナのブロックだけでは寂しすぎるので、後日2つ追加オーダーしました」と、さまぁ~ずに似せたブロックも作ってもらい、VTRが挿入されていた。「ゆるいだけでなく、しっかり作り込む」というスタッフの姿勢が見えた唯一のシーンだろうか。
■「世界一ドイヒー」こそ『モヤさま』
最後は、倉庫の中にある謎のメロンパン秘密基地「HAPPy HAPPy」へ。食レポシーンでは、またも三村が「田中、ごめん。関西弁でやってほしい」とムチャぶりし、田中アナは一発目では言葉が出ずに失敗で苦笑い。しかし、めげずに「(チョコの粒がいっぱいで)口ん中、ケガするわーい」と関西弁を披露して笑いを誘った。
これはただのムチャぶりというより、「三村が紅一点である田中アナのファンへサービスしている」という点が大きいのだろう。特に深夜帯に移動したことで、紅一点としての田中アナは、これまで以上に重視されていくのではないか。
朝と深夜の放送を1日2回見た結果わかったのは、「さまぁ~ずの姿とショウ君のナレーションさえあれば、どんな場所で何をしても『モヤさま』になる」ということ。さらにゴールデンタイムから、朝と深夜という両極に舵を切ったことで、金曜深夜時代のような「世界一ドイヒーな番組」というコンセプトが戻ってきた感がある。
これからも「ああこれが『モヤさま』だったな」「そうそう、これが見たかったんだよ」と思える瞬間が時折、訪れるのではないか。テレ東にとって視聴率の高低では測れないブランド価値が『モヤさま』にはあるはずであり、その意味で今回の編成は視聴者の支持を集められるものになりそうだ。
■次の“贔屓”は……生活苦の若者は努力で人生を変えられるか?『人生逆転クイズ』
今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、6日に放送されるフジテレビのバラエティ特番『人生逆転クイズ』(16:00~)。
コンセプトは、「生活苦で夢を諦めかけた若者4人が、伊沢拓司の熱血コーチで宇治原率いる知の巨人軍団と難関入試問題で対決。勝てば賞金100万円を得られる」というもの。
伊沢拓司が東大合格メソッドを熱血指導し、与えられた勉強期間は50日というルールと、「家賃が払えない」「コロナ禍で仕事クビ」「家庭の事情で進学断念」といった苦境にあえぐ若者が出演することなどが明らかになっている。クイズに加えて、伊沢直伝の受験テクニックが学べ、人生逆転ドキュメントが楽しめるなどの付加価値が期待できるのではないか。
今秋で『パネルクイズ アタック25』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が終了し、『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』(フジ系)がレギュラーから特番に変わるなど視聴者参加クイズ番組が壊滅状態になる中、新たな試みは興味深い。