そんな栗原氏のつくるドラマに欠かせない要素が、”ラブ”だ。

「これがないドラマは、それだけで面白くないって思っちゃうくらい(笑)。特に女性は常に胸キュンみたいなものを求めていると思うのですが、実生活でなかなか叶わない方もいらっしゃるじゃないですか。だから、ドラマの世界で美男美女の“ラブ”をちゃんと提供しないといけないと思うんです」

若い女性のみならず、「幼稚園くらいに『あの子とおててつなぎたい』というところから始まりますし、80代だろうが年齢を問わず、そして今は男女に限らず選択肢も広くなってきていますよね。だから胸キュンは、人間にとってずっと必要なものなんじゃないかと思います」と力説。

陸上自衛隊という一見恋愛とは距離がありそうな今作においても“ラブ”の要素を盛り込むあたりは、さすがの情熱を感じる。

  • 白石麻衣(左)と町田啓太 (C)フジテレビ

■“今見たい”と思わせるのがテレビの価値

30年という年月が経ち、最近はNetflixなど配信のドラマが勢いを増している。その中で、地上波の連ドラの役割というものは、どう感じているのか。

「配信は自分の時間で好きなときに楽しむものですが、赤の他人であっても全国でいろんな人が同じ時間に同じものを共有できるのがテレビだと思います。昔から、学校や職場で昨日のドラマの話題で盛り上がるというのが、アーカイブではないテレビの一番の醍醐味じゃないですか。“今見たい”と思わせるのがテレビの価値だと思いますので、今回も“これは後で見よう”とはならないドラマになればいいなと思います」

この問いに対して、『テッパチ!』企画のフジテレビ編成部・渡辺恒也氏は「大きな予算をかけてつくるドラマはNetflixにもありますが、今回のような今をときめくイケメンが勢ぞろいして、防衛省さんに大きく協力してもらってしっかりドラマが作れるというのは、なかなか他のメディアではできないのではないかと、作りながら感じています。そこは自信を持ってテレビドラマならではの豪華なものをお届けできるようにしたいと思っています」と強調している。

●栗原美和子
1964年生まれ、福岡県出身。早稲田大学卒業後、87年にフジテレビジョン入社。『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』などのバラエティ番組を経て、92年にドラマ制作に異動し、『ピュア』『ドク』『バージンロード』『ムコ殿』『人にやさしく』『東京湾景』などをプロデュース。09年から共同テレビジョンに出向し、『結婚相手は抽選で』『リカ』(東海テレビ)、『ハル~総合商社の女~』(テレビ東京)などを担当。現在は共同テレビ執行役員第1制作部長ゼネラルプロデューサーを務め、『テッパチ!』を企画・プロデュースする。

●渡辺恒也
1982年生まれ、熊本県出身。東京大学卒業後、05年にフジテレビジョン入社。以来ドラマ制作セクションで『HERO』(第2シリーズ)、『救命病棟24時』(第5シリーズ)、『医龍 Team Medical Dragon3』『黒井戸殺し』『磯野家の人々~20年後のサザエさん~』『教場II』『死との約束』などをプロデュースし、編成企画として『サザエさん』『海月姫』『ストロベリーナイト・サーガ』『世にも奇妙な物語』『テッパチ!』などを担当する。