長引くコロナ禍で社会生活にさまざまな制限が課され、企業も急速な変化を迫られたことは言うまでもない。テレワークの導入はもとより、これまで対面で行っていた営業活動や人材採用/研修のオンライン化、そのためのインフラ整備など、企業は多くの課題に直面した。さらに現状を踏まえ、今後のビジネスを成長させるためのDXについても考えていく必要がある。
Googleは3月16日、こうした課題にGoogle Workspaceを活用して取り組んだユーザー企業として、敷島製パン、損害保険ジャパン、生活共同組合コープさっぽろの3社の事例を紹介するメディア向けセミナーを開催した。同セミナーでは、ただツールを導入しただけでなく、社内への浸透、本当の意味での活用に向けた各社各様の取り組みが語られた。
その中から本稿では、敷島製パンの事例を紹介する。
採用/研修のオンライン化にGoogle Workspaceを徹底活用
パンや和洋菓子の製造販売を手掛ける敷島製パンは、創業1920年、社員数4023名(2020年8月時点)を抱える老舗企業である。
多くの企業がそうであったように、コロナ禍以前の採用活動は基本的に対面で行っており、全国3拠点で会社説明会を行った後、主要工場で面接を実施する流れとなっていた。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、これらのプロセスをオンラインに切り替える判断をした。
登壇した敷島製パン 人事部人材開発グループ チーフ 金原仁志氏は切り替え当時を振り返り、「これまで対面で実施していた説明会をオンラインにしたので、参加者が集まってくれるのかや、言いたいことがきちんと伝わるかといった不安もあったが、地方の学生も参加できるというメリットがあったと感じた」と語る。
また、面接もオンラインでの実施となったが、異なる拠点にいる面接官同士がGoogle ChatとGoogleスプレッドシートを使って情報を共有することで、スムーズな運営を実現した。内定式はGoogle Meetを活用し、内定者は全員自宅から参加。「全員顔を出しながらやったがトラブルもなく行えた」(金原氏)という。
その後に続く社内研修も、2020年はオンラインだった。金原氏曰く、「まだ試行錯誤中」とのことだが、それぞれの勤務地で少数が集まり、拠点を複数箇所つないで実施するなど、移動しなくて良いように、密にならないようにといった配慮をしながら実施された。
オンライン化は進んだが、懸念するのは、社内のコミュニケーションや横のつながりが弱くなっているのではないかということだ。
そこで社内研修のフォローの一環として、Google Currentsを活用。社歴や役職などに応じてCurrents内のコミュニティに参加してもらい、困っていることなどを共有するコミュニケーションの場とするほか、人事部が各コミュニティに向けて研修後に内容のまとめを送るなど、学習内容の定着に利用する。
こうしたツールの活用を推進するために社内で開催されるのが「Meet de 勉強会」だ。Google Meetを使い、30分程度でリモート環境における関係性強化のためのツールの機能や使い方などを説明。事前に要望や困りごとをGoogleフォームで収集し、さまざまな勉強会を開催している。
さまざまな取り組みを進めてきた同社だが、2020年の時点ではインターンシップにおけるグループワークをオンライン化することができなかった。そこで2021年、新たにこれに挑戦し、参加者をグループ分けできるGoogle Meetのブレイクアウトセッション機能と、スプレッドシートを活用して「成功させることができた」(金原氏)という。
「こういったさまざまな取り組みを行っていますが、まだまだ試行錯誤の段階なので、改善しながらオンラインの取り組みを進めていこうと思います」(金原氏)