「教育系YouTuber」に注目が集まっている。その名のとおり、YouTubeで教育系のコンテンツを配信しているクリエイターを指す。Education(教育)とYouTuberをかけ合わせた造語で「Ed Tuber」と呼ばれることもある。
そんな教育系YouTuberが9月8日、六本木のYouTube Space Tokyoに集った。著名なYouTubeクリエイターが登場しパネルディスカッションを行ったほか、デジタルハリウッド大学大学院から佐藤昌宏教授も登壇。YouTubeを活用した教育や学びの可能性について語った。
チャンネル登録者数、合計1000万人! 若手Ed Tuberが参集
今や教育分野はYouTubeの一大ジャンルとして存在感を放っている。日本でもさまざまなクリエイターが活躍しており、この日会場に姿を見せた数十人のYouTubeクリエイターのチャンネル登録者数は1000万人にも上る。
実際の学校現場で活用されている例もある。大学の授業では、参考文献ならぬ参考動画として、YouTubeのURLが提示されることも少なくない。教師や塾講師自身がYouTubeで情報発信する例も増えている。
デジタルテクノロジーで教育をイノベーションすることを「EdTech」(エドテック)と呼ぶ。AIやIoT、VR、ブロックチェーンなどの先端技術はもちろん、教育系YouTuberの動画もその一つといえる。
イノベーションというからには、何かしらの「劇的なビフォーアフターが必要」と語るのはデジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授だ。佐藤教授はさらに、「EdTechによって”教育”は”学び”へと変わり、個別最適化されている」と続ける。
楽しめて、理解度に応じた学びが得られる
これまで教育の主体となるのは、教える側、すなわち学校や先生、親といった立場の人間だった。しかし、EdTechによってそれは大きく変わる。
特にYouTubeは動画がエンターテインメントとして楽しめるように作られている。動画をきっかけに気づきを得て主体的な学びへと結びついていくことが期待できるのだ。
さらに佐藤教授は今後、YouTubeの役割がさらに大きなものになると考えているという。
「YouTubeはこれまで興味関心を与えるアテンションとしての役割でした。ですが、今後はキュレーションとしての役割も出てくるのではないかと思っています。(クリエイターには)そこを意識して、学習者に行動変容を促すところまでいってほしいです」
学習の個別最適化もEdTechがもたらす価値の一つだ。学習者は一人ひとり個性や特徴を持ち、興味関心や学習の到達度も異なっているもの。当然、個人に最適化した学習が望ましいことは間違いない。
これまでは教育者側のリソースの関係で、理解している子供にも、理解できていない子供にも、同じ場所で同じ説明をしなければならなかったが、EdTechはそれをテクノロジーで解決することができる。
たとえば学習履歴を蓄積することで学びの情報を可視化し、再現性をもたせることができる。学習履歴は家や学校、塾でシームレスに共有され、より連携された教育が行えるようになっていく。