インフォマティカ・ジャパンは9月6日、年次カンファレンス「Informatica World Tour 2019」を都内にて開催した。
「データとAIが切り拓く、DXの新時代。」をテーマに掲げた同イベントの基調講演では「ASICSのグローバル戦略を支えるマスターデータガバナンス」と題し、アシックスのIT統括部 執行役員 統括部長、富永満之氏が登壇。4年前にグローバルシステムを導入した同社が、その一連の取り組みのなかで直面したマスターデータの整合性/ガバナンスの課題や、解決の方向性について語られた。
「ビジネスを意識したIT部門」への変革
神戸で創業されて70年という歴史を持つスポーツ用品メーカーのアシックスでは、現在大きく3つの領域で事業を展開している。1つはメインのアスレチックスポーツ分野であり、2つ目は最近ビジネスカジュアルの普及などで拡大しているスポーツライフスタイル分野、そして3つ目が健康快適分野で、この10月には東京・豊洲にジムをオープン予定だ。
エリア的には米国、欧州、アジア、日本の4つのリージョンでビジネスをグローバルに展開しており、現在の海外比率は75%となっている。
「2000年からの15年間で売上は3倍以上にアップと順調に成長してきているものの、この4、5年は売上が伸び悩んでいる状況にある。オリンピックイヤーに大きく飛躍することに期待したい」と富永氏は説明する。
またアシックスでは現在ビジネスチャレンジとして、顧客接点を増やしてブランドメッセージを消費者にダイレクトに伝えることや、ランニングアプリとの連動など、デジタライゼーションによる顧客サービスの向上に取り組んでいる。そうしてナイキやアディダスなどのグローバル”兆円プレイヤー”とのシェア争いを繰り広げているわけだ。
そんなアシックスの本社IT部門では、5年ほど前から「今の情報システムでは、経営を意識した内容になっていない」という問題意識を抱くようになったという。そこで現在は、ビジネスを意識したIT部門への変革を目指すのと同時に、グローバル統合と標準化を進めている。同社が推進するIT戦略の”柱”は、以下の4項目である。
- 業務のデジタル化
- マーケットの感知
- グローバルパッケージの採用
- 生産の平準化
そして、ERP、PLM、B2Bという3つの大きなシステムをつなげるグローバルパッケージとして、アシックスが採用したのがインフォマティカのMDM(Master Data Management)ソリューションというわけだ。