7月31日、「マイナビニュースフォーラム2019 Summer for データ活用~成功事例から学ぶデータ活用~」が都内にて開催された。基調講演には、データ活用において先を行く6社が登壇。その中から本稿では、ヤフー 執行役員 チーフデータオフィサー(CDO)兼 テクノロジーグループ データ統括本部長 佐々木 潔氏による講演「ヤフーのビッグデータ・AIの活用事例とデータソリューションサービスについて」の模様をレポートする。
令和が”AIの時代”になる「3つの理由」
講演冒頭、佐々木氏は平成を「データの時代だった」と振り返った。実際、GAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple)をはじめとするデータカンパニーが平成の間に世界を席巻したことからも、これに異論がある方はないだろう。そして令和を迎えた今、これからの時代のキーワードは「AI」だと同氏は強調する。
「今は第3次AIブームと言われており、ブームである以上いずれ終わりを迎えるのではといった声もありますが、私は終わることはないと見ています。その理由は大きく3つありますが、まず1つはデータが増大し続けていることです」(佐々木氏)
AIを十分に活用するには大量のデータが必須となるが、世界のデータ量は年に1.4倍と指数関数的なペースで伸び続けている。つまり、AIを活用するための素材は満たされ、さらに増え続けているということだ。
2つ目が「システム」である。データが大量にあってもマシンパワーがなければ処理しきれない。だが、昨今では技術の進歩によってCPUやハードウェアの性能が大幅に向上しており、膨大なデータのシステム処理が可能になっている。
そして3つ目が「サイエンス」だ。「どのようにしてデータを効率的に処理するか」といった問題の解決には、サイエンスが必要となる。そしてディープラーニングというサイエンスの登場により、かつて「人間には及ばない、AIの限界」とされていたラインをも超えられるようになった。
「既に、シンプルな処理ではAIは人間を超えていると言えるでしょう。この3つの理由から、AIブームは終わらないと確信しています。そして重要なのが、データ、システム、サイエンスという3要素が既にパッケージ化されていることです。そのため、特別な技術を持たない企業でもAIを使えるようになっています。つまり、もはやAIはブームではなく”当たり前”になってきているのです。令和がAIの時代になるのは間違いありません」(佐々木氏)