2月19日、ガートナー マネージング バイス プレジデント ジーン・アルバレス氏は、「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス & テクノロジ サミット 2019」の場で「2019年のCRMとカスタマーエクスペリエンス関連テクノロジー予測のトップ10」を紹介。どれが自社の顧客ニーズにマッチしているかを見極めることが重要だと訴えた。
CX投資に影響を及ぼす「トップ10」
CEOはカスタマーエクスペリエンス(CX)の改善を強く望んでいる。アルバレス氏によれば、CXを改善したい企業が今後行うべきテクノロジー投資の重点項目は下図に示すものになるという。
同氏は、「この10分野全てに投資をする必要はありません。これはメニューとして示すものですから、このなかから自社に適したものを選んでCXを改善してください」と語り、各分野ごとの予測と共に、重点ポイントを次のように解説していった。
1. CXテクノロジーへの投資
・2022年までに、あらゆるCXプロジェクトの2/3でITが活用される
IT部門は、業務部門側からCX改善の支援を求められることになる。IT部門はCX改善に役立つさまざまなテクノロジーを学び、テクノロジーからどんな価値を得られるかを業務部門に伝えなくてはならない。数あるテクノロジーのなかでも最も重要と見なされているのが顧客分析である。パイロットプロジェクトの予算を確保するところから始めることを勧める。
2. AI
・2020年までに、全B2B企業の30%が、主要な営業プロセスの少なくとも1つを強化するために、AIを採用する
・2025年までに、マルチチャネル顧客エンゲージメントプラットフォームにAIを採用する企業は、業務効率を25%改善する
AIの導入ではスピードが重要となる。IT部門にはAIのユースケースを開発し、そのユースケースがCXの目標に即したものであるかを検証することが求められる。小さな範囲で試し、うまくいけば拡大させればよい。シンプルなタスクを大規模に実行しているところを探し、AIを導入することを勧めたい。
3. デジタルビジネス
・2023年までに、流通総額 (GMV) が中/大規模のデジタルコマース組織の15%が、独自のマーケットプレースを展開し、デジタルビジネスへと向かう過程でデジタルエコシステムを創設する
・2023年までに、相互接続されたデジタルビジネスエコシステムに参加する企業では、自社の顧客サービス案件の40%が、エコシステム内のパートナー企業によって開始されるようになる
CX改善をパートナーと共に行う上で、デジタルエコシステムの構築が求められる場面も出て来るだろう。すでに設備設計の会社とのコラボレーションを進める家電メーカーや、650社の取引先が参加するヘルスケアのマーケットプレース、シンガポールの陸上交通庁がオープンなプラットフォームを提供する例、重機メーカーが中古機器のレンタルや販売のマッチングプラットフォームを提供する例などが登場している。
4. VCA/ボット
・2018年に提供が開始されるVCA/ボットアプリケーションの40%は、2020年までに廃止される
VCA(Virtual Customer Assistant)/ボットアプリケーションへの関心が高いのは悪いことではないが、賢くないものや汚い言葉を使うダメなものに関する報道も増えてきた。一方で、良い点は24時間365日いつでも顧客に対応できることだ。個人向けの金融サービスや旅行全般をサポートするモバイルアプリのような成功事例もある。ベンダーを選ぶときは正答率に最新の注意を払ってほしい。