米PTCは6月17日から4日間、米国マサチューセッツ州ボストンにおいて、同社のプライベートカンファレンス「LiveWorx 2018」を開催している。参加人数は過去最高の6,000名。会期中は12の産業分野から230超のセッション、100超のデモを開催する予定だ。日本からも60名超のパートナー/顧客が参加している。

LiveWorx 2018の会場となったBoston Convention & Exhibition Center

PTCもトランスフォーメーション進行中

世界で最も注目されているエンタープライズ向けのデジタルトランスフォーメーションカンファレンス――。米PTCはLiveWorx 2018をこう表現する。その背景には、2016年6月にリブランドを発表し、「エンタープライズIoTソリューションカンパニー」としての方向性を打ち出していることが挙げられる。

LiveWorxのオープニングパフォーマンスは年々派手になる。今回は”プチ・シルクドソレイユ”のようなアクロバットパフォーマンスが披露された

近年、同社は「デジタルとフィジカル(物理)の融合」の重要性を訴え、製品ポートフォリオを拡充すべく、IoTやAR関連の企業を買収している。具体的には「ThingWorx」(2013年)、「Axeda」(2014年)、「Cold Light」(2015年)、「Vuforia(事業部)」(2016年)、「Kepware」(2016年)などだ。これらを3D CADの「Creo」やPLM(製品ライフサイクル管理)の「Windchill」といった、同社の中核製品とシームレスに連携することで、顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する包括的な「IoTソリューション」を提供する戦略を執る。

例えば、設計・開発から製品出荷後までの製品ライフサイクルを一気通貫で管理したり、製造現場で収集したデータを分析して現場改善を繰り返し、作業効率を向上させたりといった具合だ。さらに、ARデータ/IoTデータ/3次元CADデータを融合すれば、物理世界の製品やシステムで発生していることをサイバー空間上で再現する、「デジタルツイン」も実現できる。

米PTCでプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるジェームズ E. ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は、「PTCは5年前とはまったく別の会社だ」と自社のトランスフォーメーションぶりを強調する。実際、同社事業のなかで成長率が最も高く、新規売上額が大きいのはAR事業だという。なお、2019年には、本社機能をボストン郊外のオフィスから中心地へ移転する計画だ。

米PTCでプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるジェームズ E. ヘプルマン氏

6月18日に行われた基調講演でもヘプルマン氏は、「あらゆる業界でデジタルトランスフォーメーションが進んでいる。(自社は)変化のスピードに耐えられるか、イノベーションのスピードに遅れをとっていないか、パートナー企業とのコミュニケーションに遅れをとっていないかを考えてほしい」と参加者に訴えた。