ガートナー ジャパンは3月15~16日、「エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット」を開催。初日のオープニング基調講演にはガートナー リサーチ バイス プレジデント デニス・ゴーハン氏が登壇し、「デジタル・プラットフォームを構築してビジネス・エコシステムに投資せよ」と題して講演した。
ビジネスエコシステムを形成する「4つの力」
「ビジネスのエコシステムは今よりも数倍大きく、複雑化していきます。企業が成功するためのカギは、テクノロジーを活用してビジネスエコシステムをどう活用していくかです。そのためのストラテジーが求められています」
ゴーハン氏は講演をこう切り出し、企業は自社のみで生き残ることが難しくなり、さまざまな企業とパートナーシップを結びながら、ビジネスを展開していく必要があると強調した。
実際、ガートナーがユーザー企業に対して行った調査では、ユーザー自身がそのことを強く実感している姿が明らかになっている。具体的には、調査を総合すると「今後2年間でパートナーは2倍になる」「今後3年間で自社が属する業界以外の業界に関与する企業は3倍に増える」「今後3年間で複数の仲介業者を使用する企業は2倍に増える」といった知見が得られているのだという。
その上でゴーハン氏は「ビジネスエコシステムを形成する力は4つあります」と指摘し、その4つを戦略に取り入れていくことが重要だと説明した。
1つ目は、「相互接続の力」だ。ガートナーの調査では、優れたパフォーマンスを上げている企業のうち79%は何らかのビジネスエコシステムに参加していた。これは、コネクテッドカーのエコシステムを見ればわかりやすい。クルマ本体の製造だけでなく、AIエンジンや画像認識、制御技術、バッテリー、交通システムなどさまざまなプレイヤーが協力して、コネクテッドカーを作り上げている。
2つ目は、「プラットフォーム型ビジネスモデルの力」だ。ガートナーは昨年、2018年までに「エンタープライズアプリケーション(EA)イニシアティブの50%はデジタルビジネスプラットフォーム戦略の策定と実現にフォーカスするようになる」と予測した。実際、多くの企業が自社アプリケーションを市場にあるさまざまなデジタルプラットフォームを活用して提供するようになった。
3つ目は、資産としての「情報の力」だ。ガートナーの調査では、CEOの81%が企業を変革する主要テクノロジーとして高度なアナリティクスを挙げている。実際、機械学習やAI、ブロックチェーン、AR/VRといった新しい技術は、膨大な量の新しい情報を生成し、情報資産の価値をさらに高めている。
4つ目は、「コラボレーションの力」だ。企業の枠を越えた大きな課題、例えば、食糧問題や労働人口問題、都市と地方の格差といった社会的な課題は、コラボレーションなくしての解決は難しい。
では、このようにデジタル時代においてビジネスエコシステムの重要性が高まるなか、CIOはどういった戦略をもって事業を展開していけばいいのだろうか。