2月19日に都内で開催されたガートナー ジャパン主催のイベント「カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018」において、NTTコミュニケーションズ アプリケーション&コンテンツサービス部AI推進室 担当課長、熊谷彰斉氏は「対話系AIが実現する未来のCX/RPA」と題した講演を行った。

コミュニケーション系AIはパッとしない!?

現在は第3次AIブームとも呼ばれ、企業ITの世界でもAI活用が大きな潮流となっている。しかしながら、画像・映像系や分析解析系などのAIが「すごい」と高い評価を受けているのと比べて、コミュニケーション系AIの評判はどうもパッとしない。では、なぜコミュニケーション系AIには”イマイチ”感があるだろうか? 熊谷氏はこう分析する。

「画像や映像を理解したり、自動運転など『状態』を理解するAIに対しては、人ではできないと思えることからすごいと感じやすいのに対し、『会話』を理解するコミュニケーション系AIについては、『人ができることができないのか』という感想になりがちなのではないでしょうか」

NTTコミュニケーションズ アプリケーション&コンテンツサービス部AI推進室 担当課長、熊谷彰斉氏

コミュニケーション系AIに求められる2大要素は、こちらが話したことを正確に理解してくれる「精度」と、教えなくても自動的に回答することができる「知識」だという。このうち精度に関して言うと、例えば「このカバン、かわいいですよね」という発言には、時として暗に「買って」という意味が込められていることまで正確に理解することが求められてくる。

「人々がAIに求めることと、現状でAIができることの間のギャップが、コミュニケーション系AIの『すごい感』レベルを下げているのでしょう。当社では今、このギャップを埋めるための取り組みを進めているところです」(熊谷氏)

国内で急伸展を見せるRPA

ここに来て、とりわけ国内で注目を集めているのがRPA(Robotic Process Automation)だ。国の年金が、2045年には1.4人で1人を支えるようになると予測されるなど、少子高齢化への何かしらの対策が急務となっているなか、RPAを活用して業務を自動化し、コスト削減を図ることへの関心が高まっていることが要因と考えられる。こうした背景から、国内でのRPAの導入件数は、2017年6月までは210件だったのが2017年12月には512件と急増しているという。

「RPAで作られたロボットは、『デジタルレイバー』とも呼ばれ、それ自体が労働者だと考えられるようになっています。情報システムが作業者のサポート役を担うのに対し、作業者そのものとなる点がRPAの特徴でしょう」(熊谷氏)

そんなRPAによる自動化に向いているのは、複雑性が小さく、業務ボリュームが大きい業務だという。