多くの企業が取り組もうとしているディープラーニング活用だが、いざ本番運用について検討してみるとさまざまな課題が浮き彫りになってくる。結果、導入に至らなかったという例も多数見られるという。
12月13日に開催された「GTC Japan2017」では、ABEJA 代表取締役社長 CEO兼CTO 岡田 陽介氏が登壇。ディープラーニングの本番運用への課題と、それを解決する「ABEJA Platform」について語った。
本番運用に立ちはだかる”壁”
セッション冒頭、岡田氏は会場に向けて「ディープラーニングの導入を検討したことがあるか」「本番運用に至ったか」を問いかけた。前者については多くの参加者が挙手したものの、後者の質問に挙手した参加者はほとんどいなかった。つまり、ディープラーニング導入を検討したものの、多くの企業は何らかの課題に直面し、本番運用まで至らなかったということになる。
では具体的にどのような課題が考えられるのだろうか。また、その課題はどうすれば解決することができるのか。
ABEJA 代表取締役社長 CEO兼CTO 岡田 陽介氏 |
岡田氏はまず、ビジネスにおけるAI導入の現状を次のように説明する。
「AI市場は年々拡大していますが、マネジメント層がAIについて熟知していないという問題があります。特に日本では、AIについて熟知しているマネジメント層はわずか7.7%です」
これは米国の49.8%、ドイツの30.9%と比較しても極端に低い数値となっている。日本では、決裁権を持つマネジメント層の理解が得られにくい状況だと言えよう。
このほかにも課題は山積みだ。
例えば、サービスの保守運用にはコストがかかるし、導入効果よりも利用コストのほうが高くなってしまうことも珍しくない。また、そもそもAIを利活用するための環境が整っていなかったり、想定していたよりもAIで解決できることが少なかったりというケースもある。