ガートナー ジャパンは10月31日~11月2日、都内で年次カンファレンス「Gartner Symposium/ITxpo 2017」を開催した。11月2日には同社 リサーチ部門 バイスプレジデントの池田武史氏が登壇。「エンタプライズ・ネットワーク・シナリオ2018:新たなネットワーキングに着手しデジタル化を加速せよ」と題して、デジタル時代に向けた企業ネットワークのあり方を論じた。
なぜ今ネットワークに注目するべきなのか?
池田氏はまず、企業におけるネットワークの位置付けについて「基本的な構成は何十年も変わっていない企業も多いと思います。では、なぜ今ネットワークに注目するのか。簡単に言えば、『もっとインターネットを使ってどんどんビジネスをやっていきましょう』ということです。社内向けというよりは、顧客やパートナーといった社外向け。新しいやり方を進めるなかで、今のネットワークがそのままでいいわけはないのです」と切り出した。
ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイスプレジデント 池田武史氏 |
パブリッククラウドやモバイルが普及したことで、ネットワークのあり方は土台から変わりつつある。例えば、さまざまな用途の情報システムを相互にネットワークに接続するアーキテクチャが必要だ。また、ビジネス用途のITに、パフォーマンスとセキュリティ要件の両立が求められるようになった。もちろん、ネットワークは拡大し、複雑化し続けている。そんなネットワークを基礎から見直す必要が生じつつあるのだ。
「デジタル時代にはそれにふさわしいネットワークが必須なのです」(池田氏)
これらを踏まえ、池田氏は「これからの企業ネットワークは何を目指すべきか」「ネットワークを支えるテクノロジーはどう進化していくのか」「企業は何から始めるべきか」の3つを論点に掲げた。
1つ目の論点である「企業ネットワークの目的」については、これまでのような「従業員向けの社内作業にフォーカスした情報システム」から、「ビジネスのあらゆるリソースに迅速にリーチできる情報システム」に変わる必要があると説いた。この新しい情報システムは、顧客やパートナーとより密接な関係を構築したり、ファイル共有やスケジュール管理、顧客管理などの多岐にわたるSaaSに対応したりするものだ。また、社員の雇用形態やワークスタイルにも柔軟に対応できる。
池田氏は、「こうした情報システムでは、インターネットと社内ネットワークを縦横無尽に行き交うデータをうまく扱えることが必要です。そのためには、インターネットに広がるユーザーとサービスを適切につなぐことのできるネットワーキングを実現することが重要になってきます」と説明し、ポイントとして「接続先を迅速かつ柔軟に変えられるロジカルなネットワーキング」「ユーザーとサービスの関わりを適切に反映できるトラステッドなネットワーキング」「悪意のある人やソフトウェアの存在を前提としたセキュアなネットワーキング」の3つを挙げた。
2つ目の論点である「テクノロジーの進化」にも、この「ロジカル」「トラステッド」「セキュア」という3つのポイントが関係してくる。池田氏はそれぞれについてどんなテクノロジーに着目すべきかを解説していった。