7月20日〜21日に開催された「SoftBank World 2017」のセッションでは、ヤフー マーケティングソリューションズカンパニー データ事業推進本部 リサーチアナリシス部 部長の天野武氏が登壇。「言語化された消費者の欲望=検索データの可能性」と題する講演を行った。

ヤフーが考えるデータの価値とは?

ヤフー マーケティングソリューションズカンパニー データ事業推進本部 リサーチアナリシス部 部長の天野武氏

天野氏は2010年にヤフーに入社し、広告プロダクトのパフォーマンスやトラフィッククオリティに関する分析に従事。2013年からリサーチアナリシス部長として、データを活用した営業戦略やプロダクト戦略の立案、広告出稿効果の可視化を推進している。

講演の冒頭、天野氏は「データの価値ってそもそも何でしょうか。データが大量にあること、バラエティが豊かであること、情報鮮度が良いこと、希少性が高いことなど、いろいろな考え方があると思います。ヤフーでは、データの価値=説明力(予測力)の高さだと捉えています」と指摘した。

ヤフーの広告事業の1つとして通販化粧品会社向けに購入者の購入単価を予測するモデルを作ったことがあるという。その際、性別、年齢、居住地域、過去サイト訪問履歴、検索行動などを使って予測を行ったが、最も説明力が高かったのが過去の訪問履歴で、それに次いで高かったのが検索データだった。

「通販なので居住地域はそれほど重要ではない変数です。女性向け商品なので年齢や性別もそう。購入単価を予測したいと思っている通販化粧品会社にとっては、過去の訪問履歴やどのような検索行動をとっているかというデータの価値が高かったということです」(同氏)

データの価値が説明力だとすると、価値は絶対的なものではなく、目的によって変わるものになる。ときにはデータの量や鮮度が重要になる。ただ、そのなかでも検索データは、非常に汎用性が高いものだと天野氏は指摘する。

消費者行動モデルの1つにAIDMA(アイドマ、Attention、Interest、Desire、Memory、Action)があるが、このうち、Interest(興味)やDesire(欲求)は、検索(Search)と強く結びついていると考えられる。

「知りたい、欲しいという欲望を検索という行動に移しています。つまり検索データは、人々の知りたい、欲しいという欲望のパターンが言語化されたデータだと考えることもできます。人々の意思を反映しているため汎用性が高くなります」(同氏)

消費者行動モデルのAIDMAに検索が結びついてAISASに