ホテルの部屋に入ると、そこにはSIMカードの入ったスマホが用意されている。そんな体験を実現するのが、香港発のホテル向けスマートフォン「handy」だ。海外のホテル向けに先行して展開してきたhandyは、2017年7月に日本市場に参入。東京都中央区のロイヤルパークホテルが日本で初めて導入し、話題となった。
日本に進出したhandy、そして、それを国内でいち早く導入したロイヤルパークホテルの狙いはどこにあるのだろうか。handy Japan CMOの野本歩氏とロイヤルパークホテル 宿泊部 客室サービス課 課長の服部良一氏に話を聞いた。
ビジネスモデルを構成する「2本の柱」
まずはhandyの概要を見ていこう。handyはグローバルでは台湾の鴻海製スマートフォン、日本向けにはシャープ製スマートフォンをホテル向けにカスタマイズしたもので、観光ガイドやIP電話による国際電話アプリを搭載しているのが特徴となっている。宿泊者は、ホテルの部屋に設置された端末を無料で利用できる。
handyのビジネスモデルは、このスマートフォンを中心に大きく2本の柱から成っている。1つはホテル向けに1室あたり月額980円で提供するレンタル収入だ。
もう1つの柱は、スマートフォン画面に表示される広告からの収入である。handyを導入したホテルとは無関係の広告が表示される可能性はあるが、公序良俗に反するものや他ホテルと競合するものは受け付けない仕組みになっている。広告収入は、既にレンタル収入を上回る状況にあるという。
2012年に香港で設立されたhandyは、世界で600のホテル、11万の客室に端末を展開してきた。日本法人はシャープが14%を出資したジョイントベンチャーで、野本氏もシャープからの出向だ。
シャープ側の狙いとしては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで高まる訪日外国人需要を見据え、ホテル産業向けにIoTを展開していきたいとの意向があるという。