7月20日〜21日に開催された「SoftBank World 2017」のセッションにアスラテック 事業開発部 部長 羽田卓生氏が登壇。「広がるロボットビジネスと、人とロボット協業モデル 〜色んなロボットビジネスの現状をお話しいたします〜」と題し、同社が取り組むロボット駆動制御システムに関する講演を行った。

ロボットの『OS』を支えるアスラテックの技術

アスラテック 事業開発部 部長 羽田卓生氏

アスラテックは2013年に設立された人型ロボット制御ソフトウェアの開発会社だ。ソフトバンクグループで、駆動制御ソフトウェア「V-Sido(ブシドー)」やPepperを遠隔操作する「VRcon for Pepper」などを展開している。

羽田氏はアスラテック立ち上げから参画し、現在は事業開発部門の責任者を務めているほか、任意団体ロボットパイオニアフォーラムジャパンの代表幹事でもある。

そんな羽田氏だが、前職はソフトバンクの出版事業部に従事しており、”ケータイマニア”として知られる。2004年には、テレビ東京系番組「テレビチャンピオン」の初代ケータイ王になったこともある。特技は「目隠しされたままアンテナを触るだけでどのキャリアのケータイか当てられること」だ。

「ケータイに詳しいということで、Vodafonを買うというときにトップに呼ばれ、アドバイスを求められました。『絶対に買わないほうがいいですよ』とユーザー目線で力説していたら、どうも話がかみあわない。個人で新機種を買う件と企業買収の件をお互い勘違いしたまま話していたんですね」と当時のエピソードを語っていた。

現在では、ケータイから派生した知識をロボット開発に活かしているようだ。かつてのケータイのように、「ロボット、AIが社会に浸透し始めようとしています。世界中でロボットが働きはじめてはいますが、生産性向上のためにはまだまだ課題がある。その課題解決を支援しているのがアスラテックです」とし、同社が手がける制御ソフトがどんな分野で活用されているのか事例を紹介していった。

生物に近い動きを実現した事例としては、サンリオグループのココロが開発した人間そっくりの外観の受付ロボット「アクトロイド」や、同じくココロが開発した遠隔で自由に動かすことができる恐竜型ロボット「ヴェロキラプトル」、ロボットゆうえんちによる上体ヒューマノイド型ロボ「ナビロボ」がある。

ココロが開発した人間そっくりの外観の受付ロボット「アクトロイド」

また、より機械に近いロボットへの事例としては、クルマ型とヒト型に変形するBRAVE ROBOTICSによる等身大ロボ「J-deite Quarter」、タカラトミーのトランスフォームロボ「バンブルビー20」、佐川電子のドール型二足歩行ロボ「SE-01」、水道橋重工が開発した巨大ロボット「クラタス(KURATAS)」などを挙げる。

VRや重機への適用事例もある。イクシーのVR空間上で力触覚を提示するデバイス「EXOS(プロトタイプ)」や、建設機械を遠隔操縦する富士建の「DOKA ROBO」などを例示した。

「アスラテックはロボットそのものを作っているわけではありません。ロボットを作らない企業として、ロボットを動かすことを仕事にしています。ちょうどPCにおけるOSのような役割です。ロボットは、モーター、センサー、機構などの『ハードウェア』と、AI、アプリケーション、OSなどの『ソフトウェア』で構成されています。弊社では、このOS部分に相当する製品を提供しています」