[2ページ目] 両社の連携で狙う日本発のイノベーション
[3ページ目] 「人」起点で考えるデザイン思考
[4ページ目] 今、企業は何から始めるべきか?
SAPジャパンは8月4日、都内にて年次カンファレンス「SAP Forum 2017」を開催した。「It’s Time. 今こそ、日本が世界をリードする存在に。」と題された基調講演では、SAPジャパン 代表取締役社長 福田 譲氏が登壇。同社が進めるイノベーションについて事例を交えて紹介し、デジタル変革に向けた展望が示された。
SAPが推進するIoTイノベーション
登壇した福田氏は、講演冒頭、他社と協力して展開するイノベーションの1つとして今年7月にコマツとNTTドコモ、オプティムと4社共同で発表した建設業界向けプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」を紹介した。
SAPジャパン 代表取締役社長 福田 譲氏 |
一般に、建設現場では、同じ現場のなかでも「調査」「測量」「設計」「施工」といったプロセスは個別に行われており、資源やサプライヤーの管理なども個別に実施されている。これらのプロセスやモノをIoTでリアルタイムにつなぎ、見える化と全体最適化を行うことで、安全で生産性の高い現場を目指すのがLANDLOGだ。具体的には、AI(人工知能)やアナリティクスを活用した情報の収集・蓄積・解析の機能が提供される。
「日本の建設業には、建築物に何かあってもすぐに直せる力があります。そうした知見は匠の世界に閉じており、再現が難しいものですが、世界に通用する、日本が誇るべき技術です。LANDLOGは、その外からはわかりにくい部分をIoTで徹底的に明らかにし、世界に展開していこうという取り組みです」(福田氏)
続いてもう1つ、進行形のイノベーションの例として紹介されたのが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と展開する車両の運行管理ソリューションだ。ここで、NTT Com 代表取締役社長 庄司 哲也氏がゲストとして招き入れられた。
NTTコミュニケーションズはFormula 1 レーシングチーム「McLaren-Honda」とテクノロジーパートナーシップ契約を締結しており、チームを支えるためのICT基盤を構築している。
レース車両には200以上のセンサーが搭載され、収集した情報はサーキットからピットへ、そして本国のR&Dセンターに送られる。センターでは走行中の車両の状態を解析し、再びサーキットにフィードバックする仕組みだ。その伝送のサポートをしているのがNTTコミュニケーションズである。ここでさらに「安全運行に関して、何かソリューションを提供できないかと考えた」(庄司氏)のだという。
「我々が開発したのが、機能素材『hitoe』を活用したウェア型生体センサーから、ドライバーの状態を取得してSAPのCTS(Connected Transportation Safety)とつなぐソリューションです」(庄司氏)
現在、運輸・バス業界を中心にグローバルで30社以上に提案しているほか、コールセンターでオペレーターの緊張度を測ったり、建設現場の作業員の熱中症予防に活用したりとさまざまな業界への横展開が講じられている。
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