ガートナー ジャパンは5月23日から24日、年次カンファレンス「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2017」を開催した。「意味のある評価指標を作成する」と題したセッションに登壇したガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント カート・シュレーゲル氏は、企業のアナリティクスリーダーに向けて、どうすればうまくパフォーマンス評価指標を作成できるかについて説明した。

「戦略」と「評価指標」の関連性を高めよ!

経営層が評価指標に求める項目は何だろうか。経営層の最大の関心事は戦略の遂行だ。数多くの企業の経営ダッシュボードの中身をよく知るシュレーゲル氏によれば、意外にもCEOの掲げる戦略と、実際にダッシュボードで管理している評価指標との関連が薄い企業が多いという。

「低コストプロバイダーになりたいのか。あるいは顧客との親和性を高めたいのか。それともイノベーションで革新的な技術を提供する会社になりたいのか。CEOが目指す自社の戦略の方向性を理解した上で、売上増大やビジネスプロセスの革新といった戦略的目標を定義することが先決です」とシュレーゲル氏は語る。評価指標を設定するのはその後、というわけだ。

ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント カート・シュレーゲル氏

同氏は、シカゴ商品取引所(CME)がダッシュボードの評価指標を戦略と関連付けて成功した事例を紹介した。CMEの経営幹部は、デリバティブ取引をもっと活性化させたいと考えていた。金融商品の取引では、「価格スプレッド」と呼ばれる売値と買値の幅が狭ければ狭いほど、取引が成立しやすくなる。そこで評価指標を価格スプレッドに変えた結果、利用していたテクノロジーはそのままで、CMEを介したデリバティブ取引量の倍増につながったのだという。「この成功事例からわかるのは、ダッシュボードに載せる指標は必ず戦略目標に合致したものにしないといけないということです」とシュレーゲル氏は述べた。

戦略的計画における企業評価指標の利用/出典:ガートナー(2017年5月)