登場から3年が経過し、そろそろPepperに見飽きてきた頃。そんなタイミングでグループ会社の福岡ソフトバンクホークスがPepperを導入した。

たかがPepper、されどPepper

まずは下の動画をご覧いただきたい。

Pepperが3体同時に踊っている。正直、取材前は「なぜ今さら導入?」「踊るだけ?」と考えていたが、3体のPepperが同時に踊る様子は、しかも同球団の応援歌「いざゆけ若鷹軍団」にあわせてPepperの声で踊る姿は十二分に関心を寄せるに値するものだった。オープン戦のタイミングからデモンストレーションが行われていたのだが、動画にもあるように児童が足を止め、それに釣られて大人たちも見入る様子は十分効果がある催しと言っても良いだろう。

ソフトバンク 法人事業戦略本部 新規事業戦略統括部 ロボティクス事業推進部 推進課 石原 亮氏によると、この「いざゆけ若鷹軍団ダンスアプリ」は専用に開発されたもので、Pepperの声は通常の読み上げテキストによる再生だという。実は以前から「王貞治ベースボールミュージアム」でこそPepperを活用していたが、ヤフオクドームの通常の観客が目に触れる部分ではPepperを導入していなかったとのこと。

今回、導入した狙いは、このダンスアプリを起点として関心を引き、クイズを出題することだ。以前よりPepper for Biz向けに作られていたアプリを活用して「今年の球団スローガンは何か?」などのクイズを投げかけ、新たなスローガン「1(ワン)ダホー!」の浸透やさせることが目的だという。石原氏は「グループ企業として、これまで利用できていなかった最先端ロボットで楽しさを提供しつつ、球団スローガンの認知向上などに繋げていければ」と話していた。

福岡ソフトバンクホークス仕様にイメチェンしたPepper

子どもたちがPepperに近寄る様子が何度も見られた(写真は球団提供)

サービスごとに分断化、統合で”意味あるデータ化”を目指す「CRM」

クイズはスローガンの周知徹底の意味合いがあるが、これは球団ファンの定着、ロイヤルカスタマー育成の一端でしかない。そしてロイヤルカスタマーを育成するためのもう一つの方策が「CRMの統合」だ。

これまでホークスは、ファンクラブの「クラブホークス」やメール会員、チケット会員、通販会員など、サービスごとに会員制度が存在し、縦割りで運用していた。そのため、それぞれで顧客データが分断されてしまい「ターゲティングメールなどを荒い粒度でしか打つことしかできなかった」(福岡ソフトバンクホークス 事業統括本部 マーケティング本部 副本部長 兼 CRM推進室 室長 山畑 泰浩氏)。

これを一本化したのが、ポイントプログラム「タカポイント」だ。