5月10日~12日、「Japan IT Week 春」が東京都内にて開催された。同イベントを構成する12のIT専門展のうちの1つ「第11回 Web&デジタル マーケティング EXPO 春」の専門セミナーには、ジーニー 代表取締役 CEO 工藤智昭氏が登壇。「マーケティングオートメーションとAI活用の最前線と今後の展望」と題し、マーケティングオートメーション(MA)を活用したマーケティングの現状について説明するとともに、MAへのAI活用や今後の展望について、具体的な事例を交えながら解説が繰り広げられた。

「本当の普及はこれから」- MAの現状

そもそもMAとは、見込み客を育成・選別し、顧客の状態に応じて施策を変えることで、マーケティングプロセスの効率化や可視化、自動化などを図るというものだ。B2Bの世界からスタートし、その後B2Cへと広がっていったが、現在その適用領域に境界線はほとんどなく、ツールも同じ物が用いられることが多い。

少し前まではMAに対する期待ばかりが先行していた節があったが、現在はいわゆる「幻滅期」の最中にあり、これからはより現実的な路線で、市場にフィットしながら本格的に普及していくと見られている。

「MAはこの先2年から5年をかけ、いつでも誰でも使えるように改良を加えられながら、本格的に普及していくと言われています。現時点で既にMAに取り組んでいる企業は、先進的だと言えるでしょう」(工藤氏)

ジーニー 代表取締役 CEO 工藤智昭氏

工藤氏が率いるジーニーでは、「まずは自分たちで使ってみよう」と自社開発したMAツール「MAJIN」の活用を実践するところから始めた。マーケッター、エンジニア、営業スタッフによって活用方法を検討し、理想と現実のギャップを洗い出して課題の解決に取り組んでいる。

その効果は既に表れており、インサイドセールスの実績として、2016年7月~9月までのインサイドセールス立ち上げ期には商談数が28件だったのが、2017年1月~3月には158件に増加したとしている。

また、営業スタッフへのリアルタイム通知がアポ獲得の改善につながっているほか、メールナーチャリングによってメールマガジンの開封率とリンククリック率にも効果が表れているという。

続いて工藤氏は、MAの運用面について言及した。MAの基本機能としては、大きく「スコアとラベル」「シナリオ」の2つが挙げられる。スコアとラベルは、自社サイトやメールマガジンなどで熱心に情報収集している顧客を自動的に分類するための機能だ。来訪者の行動のうち、成約への結び付きが高いと考えられる行動に重み付けをすることで、トータルのスコアとして評価するのである。

もう1つの機能であるシナリオを使用すると、顧客が特定の行動をとった場合、あらかじめ設定しておいたこちら側のアクションを分岐させることができる。顧客の行動に応じて、その瞬間に最適だと思われる情報を届けることで、顧客の興味関心の度合いを高めることが目的だ。工藤氏は、MA活用の方向性を示す事例をいくつか紹介し、ジーニーが考える「MAの未来」について踏み込んでいった。