昨年12月に、ソラコムと提携して低価格のIoT向け通信サービスを提供する「KDDI IoTコネクト Air」や、アジャイル開発の手法を取り入れてIoTビジネスに必要なシステム開発をサポートする「KDDI IoTクラウド Creator」を提供するなど、企業のIoT活用に向けた取り組みを積極的に進めているKDDI。そのKDDIが5月17日、IoTに向けた新たなサービスとして、「KDDI IoTクラウド ~データマーケット~」の提供を開始すると発表した。
記者説明会に登壇したKDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部部長の原田 圭悟氏は、約20年前の2001年より、M2M向けのビジネスを積極的に手掛けるなど、IoTの市場開拓に積極的に開拓してきたKDDIの取り組みを振り返るとともに、現在のKDDIのIoTに向けた取り組みについて説明。KDDIでは現在、通信回線のサービスに加え、通信モジュールなどのデバイス、そしてクラウドサービスの3つのレイヤーでIoTビジネスを展開しており、それぞれの分野に特徴のあるサービスを導入し、事業拡大を図っている最中だという。
中でも今回発表した「KDDI IoTクラウド ~データマーケット~」は、クラウド領域でのビジネス拡大に向けた取り組みになるとのこと。自らもエンジニアとして顧客企業を回っているという原田氏によると、既に多くの企業がIoTに取り組んでデータの取得などを始めているが、顧客からは「集めたデータをどう活用していいか分からない」「他のデータと組み合わせて新しいビジネスの種を見つけたい」「データ分析で困っている」など、取得したデータの取り扱いに悩んでいる声を聞くことが多くなってきたとのことだ。
こうした課題を解決するための手段として、KDDIでは新たに、データを持っている企業と、データが欲しい企業をマッチングし、なおかつ分析も手掛けるプラットフォームを構築した。
1社に閉じていたデータを、業界を超えて取引する傾向が今後高まると見越し、先行してデータマーケットを提供することにより、IoTビジネス全体の拡大につなげたい狙いがあるとのこと。それゆえ料金モデルは主としてレベニューシェアを採用するそうで、IoTの利用が広がり、売上が上がってからお金をもらうという考えの下にサービス展開を進めていくとしている。
具体的なデータとしては当初、大きく7つのデータ群を用意する。具体的には、Webのクローラーで取得した最新店舗情報や、訪日外国人の動向解析、スマートフォンアプリ「COCOLOLO」から取得・集計したストレスや心拍数などの生体情報、業務車両から取得するプローブデータ、そしてミサワホームとKDDIが共同で開発した震災度判定計「GAINET」で収集した震災・被災度判定データなど。
これらのデータと顧客企業が企業がIoTで取得したデータを組み合わせて分析し、新しい気づきや価値を生み出すというのが、主な仕組みとなるようだ。ちなみにデータは7つだけに限定する訳ではなく、今後適宜追加していく予定だという。
またこのサービスでは、用途に応じて大きく分けて3つのツール・サービス提供するとのこと。
そのうちの1つは、各種データを活用してユーザーが直接分析をする、セルフ分析ツール「mapDISCOVERY」。ERSIジャパン製のGIS分析ツールを用い、先の7つのデータと、顧客のIoTデータを組み合わせたポジショニング分析や、商圏分析などが簡単にできるとのこと。なお分析メニューの利用は、1ID当たり年契約で21.6万円で、1企業当たり1IDでの利用が可能だそうだが、データの利用料は別途かかるとのことだ。