主要インターネット企業で構成する新経済連盟は、4月6日から7日にかけて「新経済サミット2017」を開催した。本稿では、7日に行われたパネルディスカッション「広がるドローン活用と空の安全管理」での議論のうち、前編としてドローンの最新技術や活用の現状などについて語られた模様をお伝えする。

登壇したのは、AirMap共同創業者 兼 CEOのベン・マーカス氏、Rapyuta Robotics共同創業者 兼 代表取締役社長 CEOのモーハナラージャ・ガジャン氏、楽天執行役員 CEO 戦略・イノベーション室オフィスマネージャーの虎石貴氏、YUNEEC technology創業者 兼 CEOの田瑜氏。モデレーターは科学技術ジャーナリストのティム・ホーンヤック氏が務めた。

[お知らせ] 4月下旬、ドローン特集スタート

IT Search+では今月下旬に、『ドローンのポテンシャル - メーカー、キャリア、ユーザー企業はこう見る』と題した特集を掲載予定です。管轄官庁の国土交通省や業界団体を含む9企業/団体にインタビュー。ドローンのビジネス活用について、それぞれの立場から近未来の展望を語っていただいております。そちらもお楽しみに。

ドローンビジネスを支える最新技術

4人のパネリスト自己紹介の後、ディスカッションはAirMapとRapyuta Robticsの技術について詳細を聞くところから始まった。

まず、AirMapが提供しているUTM(Unmanned Aerial System Traffic Management)システムについて、マーカス氏は無人航空機の管制システムのことだと説明。このシステムが必要な理由について、次のように解説した。

「従来の航空機管制の主な心配は衝突を避けることでしたが、ドローンの場合はそのほかにも注意すべき点が増えます。ドローンは比較的低空を飛行するため、人が歩いていたり、自動車が走っていたりすれば衝突を避ける必要があります。また、風の影響で飛行が遮られたりもすることもありますし、住宅地のように飛行禁止区域への配慮も必要です。飛行に必要な情報を全て活用して初めて、信頼性が高く効率的な飛行が可能になるのです」(マークス氏)

つまり、ある程度の規制は必要だが、将来的には整備された環境の下で比較的自由なルーティングで飛行ができるようになるというわけだ。

一方、Rapyuta Roboticsが提供するロボット用クラウド基盤「Rapyuta」は何を実現するのか。ガジャン氏は「ドローンには、最大積載重量を増やすほど飛行可能時間が短くなるという制約があります。そもそも全てをドローン側で処理する必要があるのでしょうか」と疑問を投げかける。

「障害物の回避のように、絶対にリアルタイムで処理しなければならないものもあれば、動画データのマイニングのように必須ではないものもあります。Rapyutaの狙いは、リアルタイム処理要件の低いハードウェア機能をドローンから分離し、クラウドに移すことです」(ガジャン氏)

このように機能を分担すれば、ドローンはデータ収集専用のマシンになるわけだ。さらに、クラウド基盤を経由して、ドローン同士でコミュニケーションを行い「あそこにこんな障害物がある」と教え合うこともできるようにもなるとガジャン氏は説明した。