サービスごとに断片化された顧客データベースの統合と、それに伴う分析基盤の構築はデジタルマーケティング全盛の今、企業の喫緊の課題となっている。その一例として、KDDIとアクセンチュアは3月14日に、データアナリティクスの活用、推進に向け、合弁会社「ARISE analytics」の設立を発表した。
出資比率は、KDDIが85.0%、アクセンチュアが15.0%、代表取締役社長には、KDDIの家中 仁氏が就任する。従業員数は、当初40名程度で、事業領域の拡大などにあわせて拡充する。基本的にはグループ内取引となるが、当初売上は数十億円、5年後には100億円の売上を見込む。
IoTのセンサーデータも統合へ
KDDIは子会社に国内のアドテク領域でトップ層に位置するSupershipを抱えており、DMP(Data Management Platform)の構築・運用は一定の成果を挙げている。一方の新会社では、KDDIグループのデータ管理から分析環境構築、グループ事業の高度化と、データ利活用ビジネスへの貢献と、基盤の運用・分析に特化する形で運用する。
同社は「ライフデザイン企業」への変革を掲げているが、これはau事業の4000万を超える顧客基盤をベースに、通信事業以外のコマースや金融、エンターテインメントといったユーザーへのライフスタイルの提案を行い、さらなる成長を目指すものだ。
ただ、サービスごとに縦割りでレコメンデーションを行っていては、一部領域のかぶる事業で、ユーザーに対して似たようなレコメンドを行う可能性があり、顧客満足度の低下に繋がる恐れがある。そこで、データプラットフォームを統一し、顧客の趣味・嗜好、属性の統一管理による最適なレコメンデーションと、ワンストップのサービス紹介を行うことで、満足度を保ちつつも顧客単価の上昇などに繋げたい意向だ。
また、ECやコンテンツ配信以外にも、IoT機器のデータマネジメントも新会社で行うことで、多角的な分析を行う予定だという。
「IoTとWeb送客は別物といえば別物だが、データを重ねあわせると良い部分があると考えている。例えば、auユーザーにAmazon EchoやGoogle Homeのようなアシスタントデバイスを提供すると、属性や行動履歴を組み合わせて、より良いレコメンドに繋がるはず。そのためにも、IoTと顧客基盤の統合・一本化はいい案だと考えている」(KDDI バリュー事業本部 バリュー事業企画本部長 理事 新居 眞吾氏)