IT資産管理・情報漏えい対策ツール「LanScope Cat」を開発・販売するエムオーテックス(MOTEX)が、セキュリティ意識の啓発のために制作した書籍「セキュリティ7つの習慣・20の事例」が話題を呼んでいる。
同書は、ITやスマホの普及によってインターネットの利用が当たり前となった今、最低限身に付けておくべきセキュリティの「7つの習慣」と「20の事例」が、コミカルなタッチのイラストとシンプルなテキストでつづられた1冊。
20の事例では、「オフィス編」「外出・出張編」「自宅編」とシーンを分け、日常生活に潜むセキュリティの「落とし穴」が紹介される。監修を務めたのは、HASHコンサルティング 代表取締役の徳丸浩氏とアスタリスク・リサーチ/OWASP Japan 代表の岡田良太郎氏だ。
ユニークなのは、その販売方法。同書籍には、紙版とPDF版の2種類が用意されているのだが、定価1,200円(税別)の紙版は現在のところ、MOTEXの直販のみで一般の書店では流通していない。そして、一方のPDF版では、公式サイトからダウンロードすれば全ての内容が無料で読めるのだ。
こうした書籍を制作した狙いはどこにあるのか。本書の企画を担当したMOTEX 経営企画本部 企画広報部 副部長 坂本琴音氏にお話を伺った。
セキュリティに興味がない人を振り向かせたい!
――「セキュリティ7つの習慣・20の事例」を企画したそもそものきっかけは何だったのでしょう。
坂本氏:弊社はセキュリティメーカーとしてツールを提供していますが、ツールだけでは世の中のセキュリティ事故を完璧には防げません。やはり情報を扱う人次第ですし、もともと「人に対する啓発活動がすごく重要だよね」という考え方があり、それが本書を企画したきっかけになります。
わかりやすくセキュリティについてお伝えするために「NO MORE 情報漏えい」というオウンドメディアも運営しているのですが、そうしたメディアを見る人たちというのは、そもそもセキュリティに興味を持っているんですね。そうではなく、興味がない人にどうアプローチするかが課題でした。
MOTEX 経営企画本部 企画広報部 副部長 坂本琴音氏 |
弊社のお客様でも、「社員のセキュリティ教育をどうすればいいのかわからない」という悩みを抱えている企業が少なくありません。そこで、セキュリティメーカーとして啓発に使えるようなものを提供したいと考えたんです。一般の方にも届けることを考えたら、やはり本の形がよいのではないかという話になりました。
――一般の方のセキュリティ意識は、どの程度のものなのでしょう。
坂本氏:弊社が実施したインターネット調査では、「過去1年以内にセキュリティの被害にあったり、ヒヤリハットしたりした」という回答が最も多かったのは20代の男性、続いて20代の女性でした。また、「セキュリティ知識に自信がない」と答えた方も、やはり20代~30代の若い方に多かったんです。一方で「セキュリティ知識を学びたい」という回答が一番多いのも、男女ともに20代でした。
つまり、若い方ほどセキュリティに自信はないけれど、学びたいとも考えているわけです。この世代はインターネットを使うことには長けていますが、スマホなどを当たり前のように使っているだけに、あまりセキュリティについて意識しないまま過ごしてきてしまった人もいるのではないかなと思います。
――本書はコミカルなイラストを多用しており、文字数も少なくて読みやすくなっています。若い世代にも受け入れられやすそうですね。
坂本氏:一般的なセキュリティの書籍は、内容は詳しいけれど文字が多くて難解だったり、逆に漫画を使った軽いタッチだけれど内容がかなりライトだったりで、「その中間のちょうどよいものがない」と感じていたんです。そこで、「おもしろく読めるし、なおかつ内容も正確でわかりやすい本を作ろう」というのが企画の趣旨でした。
――特に読んでほしい読者層は設定されていますか?
坂本氏:セキュリティの知識はもはや一般常識とも言えるので、幅広い世代の方に読んでいただきたいです。でも、しいて言うなら、これから社会人になる学生や、新入社員の方々ですね。