東京メトロは3月13日、ログバーの音声翻訳デバイス「ili(イリー)」の実証実験を銀座駅で行った。なお、18日も明治神宮前駅で行う予定。
同社は、2016年10月~12月にオープンイノベーションプログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2016」を開催。ログバーは「東京メトロアクセラレーター賞」を受賞していた。今回の実証実験は、パイロット施策第一弾として行われた。
音声翻訳はスマートフォンアプリなどで普及しつつあるが、ネット環境が必須で、電波環境が悪い場所での対応が難しく、応答速度などにも問題がある。iliは、オフラインでも翻訳が可能な「翻訳デバイス」であり、日本語と英語、中国語の双方向翻訳を可能としている。
この日行われた実証では、銀座駅の旅客案内所にデバイスを設置し、訪日外国人にデバイスを取ってもらうことで、翻訳デバイスとしての有用性を実証する。なお、現時点で旅客案内所の係員はすべて「英語・中国語・日本語」の通訳が可能な人員で、翻訳デバイスを必ずしも必要としていない。
ただ、政府が2020年を目標に、訪日外国人4000万人の達成を目指すなど、今後もさらなる訪日客の拡大が見込まれており、多言語人材の確保が難しくなるとみられる。東京メトロでは、駅係員などにiliを持たせることで、多様な外国人接客ニーズへの対応を図りたい狙いだ。
経営資源の”新しい解釈”に出会いたい
東京メトロの経営企画本部 企業価値創造部 新規事業担当 課長補佐の小林 峰史氏は、この実証実験の狙いを「新しい技術やサービス、つまり私たちが持っていないものとのコラボで、新たな”メトロの価値”を生み出したい」と話す。