ゼンショーホールディングス傘下のはま寿司は2月2日、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」を店頭受付・案内業務に活用する実証実験を浦和店で開始すると発表した。
はま寿司は東京都のウィラ大井店で2016年10月から、栃木県の真岡店で同12月より実証を始めており、今回が3店舗目となる。同社は47都道府県457店舗を構えているが、今回の実証実験の結果を踏まえて全国展開するかは検討しているものの、具体的な展開時期については未定としている。
受付・案内業務は、もともとはま寿司が店舗内に構築していたシステムをPepperに最適化。タッチパネルで来店人数、座席の希望などを選び、指定番号の席へと送客する。また、満席の場合はPepperが呼び出しを行うほか、Web予約による呼び出しについても同様の対応となる。
また、人間ではなくロボットが待機者の番号を確認する必要があるため、呼び出し番号に記載された暗証番号ならぬ「暗証寿司ネタ」を入力して番号確認を行う仕組みを用意した。ただ、先行実証中の店舗で顧客からわかりづらいとの指摘もあり、改良を予定しているという。
Pepperは喜んでもらえる存在
はま寿司 取締役 営業本部 本部長の田邊 公己氏によると、Pepper導入には「無駄のない案内業務」「従業員負荷の軽減」「ワクワク感の演出」という3つの狙いがあるという。
浦和店では、1日平均700名、土日などには1000名が来店するため、ピークタイムには当然混雑が発生する。そうした時間帯では、レジ業務と案内係を兼務する従業員がレジ作業に追われてしまい、案内までの”間”が発生してしまうそうで、案内業務時間は積算で2時間程度に達する。これをPepperで自動送客することで、回転率の向上を図るとともに、従業員がレジ業務や机上清掃業務などに集中できるようにして負荷軽減を図る。
「ワクワク感の演出」については「外食レストランとして、家庭にはない楽しさを提供したい。Pepperというロボットを用意することで喜んでもらえるんじゃないかと思い、Pepperの”入社”を決めた」(田邊氏)そうだ。「まだまだこのチャレンジ始めて課題あるけど今のところ楽しんでもらっている手応えはある」(同)。
また、ソフトバンク・ロボティクス 事業推進本部 本部長の吉田 健一氏によると、Pepperは集客・販促利用が多く、今回のような「マストハブの業務に活用される事例は数少ない、先進的なもの」だという。2015年10月にスタートした法人向け「Pepper for Biz」の導入企業は1年半弱で2000社超にのぼっているが、2月8日、9日には「Pepper World 2017」の開催予定もあり、ほかにもさまざまな活用事例、新サービスが発表されそうだ。(関連記事 : 人型ロボット「Pepper」の今 - イオンモールが導入1年で気付いた「課題」と「未来」)
先行実証で課題も、成功が導入拡大の決め手に
また吉田氏は、この事例が「Pepperがシステムの一部に組み込まれたIoTと言っていい」と表現。既存システムの上位レイヤーに組み込まれた製品として顧客に接する「インタフェース」としての役割を強調した。