一見するとITと縁遠いイメージがある飲食業界。しかし、なかには積極的にIT化を進め、IoTやデータ活用を駆使して店舗運営を行っている企業もある。その1つが、回転寿司チェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローだ。

12月7日に開催された「マイナビニュースフォーラム2016 Winter for データ活用 ~IoT時代の機先を制す~」の基調講演では、あきんどスシロー 情報システム室 室長 坂口豊氏が登壇。同社が導入しているITシステムを紹介するとともに、知られざる「回転寿司の裏側」について語った。

ITを駆使してスムーズな顧客対応を実現

1984年に創業したあきんどスシローは、現在、国内447店舗・海外7店舗を展開する回転寿司業界の大手企業だ。年間1,350億円を誇る売上高は日本の同業種においてトップクラスに位置し、31年間最高売上を更新し続けているという(2016年12月7日時点)。

同社の好調を支えているのが、ほかならぬITシステムの存在だ。スシローのIT活用は、顧客の来店前から始まっている。

「スシローでは、スマートフォンアプリから来店前に席を予約したり、ネット注文システムから、あらかじめテイクアウトの寿司を注文しておいたりすることができます」と坂口氏は説明する。

あきんどスシロー 情報システム室 室長 坂口豊氏

来店後の顧客対応においても、徹底的にITを駆使した効率化が図られていることは言うまでもない。まず、ホールにはチェックインシステムが導入されており、来店した顧客が大人・子どもの人数を入力すると、店舗スタッフがそのシステム画面を見て顧客を席まで誘導する仕組みだ。データはキッチン内にも表示され、商品の提供に活用される。スタッフ全員が来店状況を共有できるため、スムーズな接客が可能なのだ。

また、注文はタッチパネルで行うことができ、注文内容は即座にキッチンスタッフまで伝わる。それらのデータからは店舗の状況が分析され、バックヤードの責任者まで届く仕組みになっている。

この一連のシステムをスシローでは「回転すし総合管理システム」と呼んでおり、坂口氏は「特許も取得している弊社独自のシステムです」と胸を張る。