新年あけましておめでとうございます。
ITSearch+では「2017年新春インタビュー」と題し、大手パブリッククラウド3社に2017年のクラウド活用の在り方、価値について伺いました。今回は「Google Cloud Platform」です。
Googleが提供するパブリッククラウド「Google Cloud Platform(GCP)」は、2016年11月に東京リージョンを開設した。Google Cloud Platform日本事業統括の塩入 賢治氏は、ディープラーニングを簡単に活用できる環境を整えて「技術力でお客さまの課題解決を支援していきたい」とその意気込みを語る。
―― 2016年はGCPにとってどのような年でしたか
塩入氏 : 1東京リージョンを11月に開設するなど、大きな一歩となった年でした。これは、グーグル全体が日本のクラウド市場に期待し、投資判断した結果だと考えています。
また、2015年12月に(元VMwareの共同創立者兼CEOであった)ダイアン・グリーンがGoogleのクラウドビジネス統括責任者に着任しました。それ以降、エンタープライズの顧客に対してGCPの技術を活用してもらうよう、今まで以上に注力するようになりました。
その1つが、エンタープライズに必要不可欠な機能を充実させたことです。例えばAM(アカウントマネジメント)機能や、クラウドのセキュリティ対策に関する情報発信などは、クラウドを選択する上で重要です。こうした部分を、顧客に満足してもらえるように注力しました。
2016年は、グーグル全体、日本法人においてもビジネスが急伸した年です。また、イベントによる情報発信も強化した年でした。Google Cloud Platformにフォーカスしたイベント「NEXT」を、サンフランシスコを皮切りに東京でも実施しました。同イベントでは単なる製品紹介だけではなく、お客さまの利用事例なども、参加者の方々と共有することができました。
さらに、12月には開発者向けのイベント「Google Cloud OnBoard」を日本で開催しました。同イベントはGoogle Cloud Platformの実際の使い方や事例、運用ポイントなどを開発者視点で紹介したもので、1000人規模の開発者に参加を頂きました。もちろん、来年以降も継続的に実施していく予定です。
また、さまざまなコミュニティが本格的に立ち上がった年でもあります。GCPのナレッジ共有が行われる「Google Cloud Platform User Group(通称:GCPUG)」は各都道府県に支部がありますし、ほかにもビッグデータ解析プラットフォームの領域に特化した「bq_sushi」コミュニティや、マシンラーニング「Tensor Flow」のコミュティもあります。
―― パブリッククラウド市場は「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」があり、GCPは「後発」という印象があります。両社への対抗策はありますか
塩入氏 : 確かに東京リージョンの開設は今年なので、すでにクラウドサービスを提供しているベンダーと比較すれば「後発」かもしれません。実際、お客さまの中には「日本にリージョンがないと不安」という理由で、GCPを選択されないケースがあったと考えています。
ただしグーグルは、他社を意識して「何か対策を講じる」ということは一切考えていません。グーグルは技術の会社であり、世の中にない技術を持っていると自負しています。その技術を利用してサービスを提供し、お客さまのビジネスを変革していくことに注力していますから、(サービスの提供で)「先行者」も「後発者」もないと考えています。
――2016年にGCPが特に注力した分野は何でしょうか
塩入氏 : データ分析の領域です。グーグルはこれまでもデータ分析技術を研究し、自社のサービスで活用してきました。こうした技術はどのお客さまにも役に立つと思います。2016年10月、われわれのCEOであるサンダー・ピチャイは「モバイルファーストからAIファーストへ」というビジョンを打ち出しました。
ただし、AIを利用することが「ゴール」なのではなく、目的を達成するための手段の1つにすぎません。われわれが提供しているサービスの中には「お客さまの利便性を向上させる」との観点から、AI技術をすでに利用しています。ですから、ことさらAIだけを強調して「AIを使ってほしい」とは考えていません。あくまでも、お客さまの目的を達成する手段/課題解決の1つとしてのAIです。
――顧客がGCPを選ぶ理由は何でしょうか
塩入氏 : 理由は3つあると考えています。