――それにしても、家賃1万7,000円の家ってどんな空間なのか想像がつかないんですが。
水道は使い放題で、高円寺の駅からは徒歩10分ぐらいっていう良い部分もあったんですけど、ネズミがけっこう出たんですよね。ある日、翌朝に食べようと思って夜のうちに買ってきたクリームパンを部屋に置いていて、いざ食べようとパンを持ったら軽くなってまして。恐る恐る裏側を見たら、クリーム部分がくり抜かれてるんですよね。もうキャトルミューティレーションみたいな状態。
――世紀末だ。めちゃくちゃポジティブに考えれば「水道使い放題、駅徒歩10分、ペット可」な物件だったというわけですか。
鳴き声とかけっこう可愛いんですよ。でも、そんな家に住んでいたら、あるとき体調を崩してしまいまして。最初は風邪かなーなんて思ってたんですけど、ノドが痛いだけで、咳も出なければ熱も出ない。その状態で3,4日経ったら、徐々に声が出にくくなって、最終的にはツバも飲み込めないぐらいしんどくなってきたんです。だから病院に行って、救急外来みたいなやつで診てもらうことにしたんですよね。
病院に電話したら、「耳鼻咽喉科の先生が1人しかいないんで、相当なことがなければ帰ってもらいます」って言われて。診るだけお願いしますなんて言いながら、いざ診察が始まって指示通りに口を開けたら、その瞬間「あ、もうこれダメだ」って言われたんですよ。
――え?
「これ、ネズミしか罹らない病気ですよ」って宣告されて。「耳鼻咽喉科」って書いてあった診察室のパネルが「重病患者」みたいなやつに突然切り替えられたんです。「今日はあなたで終わりです。あなた以上の患者さんは多分来ないと思うので」とか言われちゃいましたからね。そこから緊急入院ですよ。
もしこのまま放置してたらどうなってたんですかって聞いたら、「ノドがボトって落ちてた」って言われましたもん。
――いくら家賃が安くてもそれは代償が大きすぎますね……
中学時代の話ですけど、アフリカにしかいないアリの病気に罹ったこともあります。
――世界を股にかけてますね。現在お住まいの部屋では何か問題は起きていませんか?
昔は足の踏み場もなかったので、そのころに比べれば部屋はキレイになりましたね。今は嫁と一緒に住んでいるっていうのもありますし。ただ、相当狭いですよ。3畳半ぐらいの部屋にロフトが付いて、家賃が5万8,000円とかで。家は僕の名前で借りてるんですけど、審査が通るところが本当になかったんですよね。
――今は家賃を滞納せずに払えてますか?
大家さんが台湾の方なので、毎月台湾に向けて円を送金する形になるんですけど、2カ月分ぐらい滞納しちゃってます……。
――ここでもグローバルな一面が出ましたね。でも、余計なお世話かもしれませんが、大家さんとトラブルにならないためにも、そして何より奥様のためにも、家賃はちゃんと払っていただかないと心配になっちゃいますよ。
実は、奥さんは僕にとって初めてお付き合いさせていただいた女性なんですよね。TBSラジオ「マイナビ Laughter Night」の中でレギュラーとして「空気階段の踊り場」という番組をやらせていただいてまして、その番組内で告白したのがきっかけで。このラジオがなければ、僕はまだ誰ともお付き合いしていなかったかもしれないんです。だから、国によって曲げられた人生をマイナビさんに直していただいたという気持ちがあるんですよ。今回、またマイナビさんにチャンスをいただいたので、これを機に自分の人生を見直します!
――お子様も生まれたことですし、一緒に頑張りましょう! ということで、今現在ご自身の中で改善したいと思っている部分を教えてください。
まずは遅刻癖ですよね。時間通りじゃダメで、5分前・10分前行動ができるようになりたいです。ちなみに、ギャンブルはやめたんですよ。今の奥さんと付き合い始めたころ、デートにお金を使うほうが楽しいと思い始めて。とはいえ、借金も借りてはいないんですけど返してもいない状態なので、やっぱりそれはなんとか減らしたいですよね。
あとは禁煙。今は禁煙を始めて1カ月ぐらいなんですけど、これがいつまで続くか正直わからなくて。改善したいというか単純に心配なこととして、子どもの保育園の問題とかもありますよね。もらえる手当に気付いていないとか。おまけでひとつ、将棋が得意なので、将棋関係のお仕事も待ってます!
――では、次回からはそれぞれの改善点を解決するための方法を考えていきましょう。記念すべき第1回目のシメに、世の中の悩める同志たちに向けて何かひと言お願いします!
下を向いて歩こう、これですね。
――その心は?
下には下がいるんですよ。上ばかり見てもキリがないんですけど、下もキリがないんだよっていうのを知ることによって、自分の位置が見えてくるというか。やっぱり上ばっかり見てると辛くなるじゃないですか。もちろん上を見るのは大事なんですけど、下も見ていこうよと。何をもって下なのかっていうのも難しいですけどね。ただ、下を見てればけっこう小銭とか落ちてますし、「ご自由にお取りください」みたいなものにも気付きやすくなったりしますから。
現段階での鈴木もぐら氏の「クズ」っぷり、おわかりいただけただろうか。次回からは、インタビュー中にも話していたように、同氏が自身で改善したいと考えている部分を矯正するための方法を探っていく。本稿において何か共感を覚えるポイントがあった方は、ぜひとも次回以降の取り組みをチェックし、参考にしていただきたい。