親の介護のために休業や退職、転職などを余儀なくされ、子ども世帯の老後の生活設計が不安定になることが問題になっています。政府は家庭内での介護を推進していますが、それは介護をする側の老後の生活が成り立つことが前提となっています。そうでなければ、いずれ子どもが介護を受ける年齢になったときに介護の問題が再燃します。

親の介護のために自分自身の老後のための資金が不十分になれば、その問題はさらに次の世代に連鎖的に引き継がれてしまいます。そのような状況を回避すべく、介護のために一時的に休業せざるを得なくなった場合には「介護休業給付」が支給されます。具体的にどのようなときにもらえるのものなのか、確認しましょう。

介護休業給付の支給要件をチェック

介護休業給付は雇用保険制度の中の仕組みです。そのため、雇用保険の被保険者が給付の対象となります。雇用保険の被保険者であれば、パート勤務などのケースにも適用されます。基本的な要件は下記の通りです。

(1)介護休業期間中の給与が休業開始前の80%以上でないこと
(2)1カ月ごとの介護休業日が20日以上あること
(3)介護休業開始前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること
(4)介護休業開始前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あること

勤務形態によって支給要件は異なりますので、事業主に確認ください。

支給対象となる介護休業と介護対象者

介護休業給付の対象となるのは、一定の親族を介護するケースに限られます。介護休業給付の対象となる介護を受ける家族は、以下の図の範囲の親族となります。

  • 介護休業給付の対象範囲は親族に限られる

さらに、介護のために休業していれば、必ず支給されるとは限りません。支給対象となる休業は、以下の要件を満たしていなければなりません。

(1)病気やケガ、精神的な障害などにより、2週間以上の常時介護が必要する状態が継続している
(2)被保険者(介護者)が介護休業開始日と終了日を明確にし、事情主に申請し、実際に取得した休業であること

ただし、介護休業終了後に退職を予定している場合などは支給対象とはなりません。あくまでも、継続勤務の中の一時介護休業のケースに適用されます。