介護保険を活用したリフォームとは、自宅で生活するうえで可能な限り自分でできる範囲を広げるため、また家族が少しでも介護しやすくなるように行う一定のリフォーム工事のことです。工事に要した費用のうち、所定の金額が介護保険より補助されます。ただし、大切なのは介護保険の活用ではなく、生活しやすくなることなのです。

介護保険によるリフォームについては以前にも取り上げましたので、申請の細かい手順などはこちらの記事をご参照ください。今回は、工事を行ううえで住み手が知っておかなければならないことを中心にまとめていきましょう。

  • 住まいを介護用に改修すると補助金や助成金がもらえる

    住まいを介護用に改修すると補助金や助成金がもらえる

高齢者の住まいの研究をして実感したのは、高齢者にとっての「快適」は、実は若い方たちにもとっても「快適」だということです。子どもに対する安全対策にもつながりますので、若い世代が高齢者の住まいのあり方を知っておくことは、とても役に立つことなのです。

高齢者の住まいを専門にしている設計事務所もありますが、高齢化社会になり、一定のリフォームに対して介護保険を活用できるようになったこともあり、多くの会社が介護リフォームの業界に参入してきました。ただ残念ながら、多くは高齢者に対する知識もなく、単に工事を行うだけの会社なのです。

しかし、手すりを取り付ける工事一つを考えても、それを使う人の身長によって取り付ける高さはまったく異なりますし、手すりに体重をかけたいのか、それともつかまりたいのかでも違います。間違って取り付けるとかえって危険なケースもあり、住み手にも高齢者の住まいに関するある程度の知識は求められるのです。

介護保険における住宅改修制度の概要

ここで一度、介護保険における住宅改修の概要について確認しておきましょう。

同制度は、要介護者らが自宅に手すりを取り付けるといった住宅改修を行おうとする際、住宅改修が必要な理由書などを添えて申請書を提出し、工事完成後に領収書などの費用発生の事実がわかる書類などを提出すれば、実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給されるというものです。やむを得ない事情がある場合には、工事完成後に申請できます。

支給額は「要支援」「要介護」の区分に関わらず定額で、支給限度基準額(20 万円)の9割(18万円)が上限です。1人につき生涯20万円までが支給限度基準額ですが、要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時)、または転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が可能となります。