人口減少地域のほとんどが何らかの対策を行っていると思われますので、今回も首都圏の事例をいくつか取り上げてみましょう。受け入れのすそ野を広くする土日のお試し体験などは、首都圏の地域は有利なはずです。金曜の夜から受け入れ態勢を作って、月曜に直接出勤も可能なケースもあります。
気に入った地域があり、移住を希望しているのであれば、移住先の制度だけに頼らず、どんどん働きかけてもよいのではないかと思います。各地域の政策は、それなりの地位にある立場の人間が考えているはずです。頭の固い年齢の人間よりは、若い移住予定者のエネルギーとアイディアで、切り開いていったらよいと思います。打てば響くようであれば、移住がうまくいく兆候のような気がします。
■東京都奥多摩町
奥多摩町では、豊かな自然環境の中で安心して生活できるように、さまざまな支援・応援をしています。「若者定住応援補助金」は奥多摩町に住宅を新築、増築、改築、購入した人に補助金を交付する制度です。対象は年齢45歳以下の夫婦または50歳以下で子ども(中学生以下)がいる世帯、もしくは35歳以下の単身者で最大200万円が支援されます。
また、「利子補給」制度では、奥多摩町に定住を目的とした住宅を新築、増築、改築、購入した人に、資金借入に対する利子補給を行っています。対象は年齢45歳以下の夫婦または50歳以下で子ども(中学生以下)がいる世帯、若しくは35歳以下の単身者。融資金額500万円以上で償還期間が10年以上の住宅ローンが対象となり、借入利率の2分の1、年額30万円以内(給付期間36カ月)が利子補給されます。
■埼玉県行田市
「子育て世帯定住促進奨励金」制度は、将来にわたり定住人口の増加を図ることを目的として、経済的にも負担の大きい子育て世帯の住宅取得を支援しています。市外から転入した子育て世帯が1年以内に住宅を取得した場合に最高で60万円、市内在住の子育て世帯が住宅を取得した場合に最高で40万円の奨励金を交付します。
■千葉県神崎町
神崎町への移住・定住の促進を図るため、神崎町に住宅を新築し、または神崎町内に所在する住宅を購入した人に対し、移住・定住奨励金を交付します。対象は平成30年4月1日以降に神崎町に転入し、5年以上居住する予定の人で、奨励金は50万円です。39歳以下ならば20万円、同居する世帯員に満18歳未満の子どもがいるときは子ども1人につき5万円、新築の場合において町内業者が施工したときは20万円が加算されます。
■茨城県かすみがうら市
「かすみがうら市成婚定住奨励金」はかすみがうら市婚活支援推進事業に参加して婚姻をした夫婦で、婚姻後に5年以上継続して本市に住所を置くことを誓約した夫婦に対し、1組10万円が支給されます。
■茨城県北茨木市
「定住促進奨励金」は市内に住宅を取得する人または市内に所有する住宅の改修をする人に奨励金が交付されます。 対象となる住宅は平成28年4月1日以降に住宅取得または改修工事の契約を締結し、平成32年3月31日までに登記または工事を完了したもので、居住の用に供する部分の延べ床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の専用住宅または併用住宅です。
住宅取得奨励金としては、住宅の取得費の5/100(上限10万円)が支援されます。また空き家対策奨励金として、住宅の取得費の5/100(上限10万円)が、定住奨励金として対象住宅・土地に対し、新たに固定資産税が課税された年度から2年間固定資産税及び都市計画税相当額(上限10万円)が支援されます。それぞれ年齢などの要件があります。
■千葉県旭市
「定住促進奨励金」は、「平成30年4月1日以後に住宅を取得(自ら住宅を新築、あるいは新築住宅または中古住宅を購入し、所有権保存登記または所有権移転登記を行うこと)している」「住宅の取得の日と転入の日との間に1年以上の期間がない」「転入の日から起算して過去3年以上旭市の区域外に住所を有していた」「交付申請時において旭市に定住している」などを要件に、新築住宅の場合、最大150万円(加算金含む)支援されます。
■ 筆者プロフィール: 佐藤章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。