これまでのあらすじ

脳内出血を発症した筆者。主治医や病院の許可を得たうえでスマートフォンやノートPC、そしてデータ通信を重視したSIMを活用することで入院中でも外の世界とのつながりを維持できた。リハビリが進むにつれて入院生活がベッドの上から車いす、そして、再び歩けるようになったとき「ささいだが意外と困る問題」に遭遇したのである――。<詳しくは第1回第2回第3回を参照> (※ちなみに今回が最終回です。)

  • 2021年1月に倒れてから4月中旬まで、筆者は車いすの生活を送っていた

車いすの生活で便利だったこと

筆者が脳内出血を発症して最初の1カ月間は「ほとんどの時間がベッドの上」という生活でした。

リハビリで1コマ1時間、1日あたり1~2コマをベッドから車いすで移動する以外はずっとベッドの上で過ごしていたのですが、発症から1カ月が経ち、脳内出血の治療がひと段落してリハビリがメインとなった段階で、筆者はリハビリテーションを目的とした病院に転院します。それからは、リハビリを受けるコマ数が増えたこともあって「ほとんどの時間が車いすの上」という生活に移行します。

筆者が使わせてもらえた車いすには、意外な“便利”ポイントがありました。それは、「ひじ掛けの内側にスマートフォンを収納できるスペースがある」こと。

全ての車いすが同じということではないのですが、たまたま筆者に割り当てられた車いすではひじ掛けのプレートと座面シートの隙間がわずかしかなく、ひじ掛けの内側にスマートフォンを置いておくことができたのでした。

これがなにげに便利で、特に筆者の場合は、通話用とデータ通信用との「スマートフォン2台使いユーザーであっただけでなく、それぞれが“やたら重い”モデルであったりしたので、車いすのポケット、いや、ひじ掛け内側に載せて移動できたのは、とても便利だったのです。

  • 筆者が使っていた車いすはひじ掛けの内側にデバイスを置くことができてなにげに便利なのだった

入院生活で身体に予想外の変化が……

入院生活が3カ月を過ぎたある日、幸いにして車いすを卒業することになりました。あとは杖を使いながら自分で歩いて移動することになります。身体が回復していくのはありがたいことなのですが、車いすが使えなくなったことでちょっとだけ困ったことが出てきました。

治療が主目的の入院ではほとんどの時間を寝て過ごすことになるため「パジャマを着た生活」だったのですが、リハビリが主目的の入院では「運動しやすい服装=ジャージを着た生活」となります。

となると生活時間のほとんどをジャージで過ごすことになるわけで、それまで車いすのひじ掛け内側に載せていたスマートフォンをジャージのズボンにあるポケットに入れて持ち歩くことになったわけですが……。

「スマートフォンをポケットに入れて歩いているとジャージのズボンがずり下がってくる!!」

えーっと、これにはいろいろと説明しなければならない前提があるのですが聞いていただいてよろしいでしょうか。

まず、筆者って脳内出血で倒れるまで、けっこう「ムクムクな体型」だったんですな。え、なに? ムクムクというよりブクブクでしょう、って言い方やめてください! ムクムクだろうとブクブクだろうと、お腹周りがパッツパッツで「ズボンをはいたらベルトなしでもずり下がらない」体型だっということには変わりはないんですけど。

いやいや、そういうことを言いたいんじゃなくて、そういう体型だったおかげで、ジャージは「ヒモを締めずともズボンのゴムだけで大丈夫、というか何ならゴムもいらないしゴムの跡がお腹全周にわたってくっきり残るぐらいだったし」という状況だったのです。

それが、入院で「食事制限」となったためにあれよあれよと体重が減っていき、気が付いたらBMIは適正値となりお腹周りは“成人男性の正常範囲”となりました。

その体型で以前のようにヒモを締めることなくジャージをはいてポケットにスマートフォンを入れて歩いていたら、スマートフォンの重みでジャージが下がっていったわけですよ。300グラムを超えるようなバカでかいUnihertz Titanを持ち歩いている筆者も悪いんですが。

  • 入院中、片手しか使えない状態でもハードウェアキーボードで打ち込むことができたUnihertz Titan。ま、デカいんですわ、これが

重たいスマホ×2、スマートに収納するには?

とりあえず、ヒモを締めればUnihertz Titanをポケットに入れてもジャージはずり下がらなくなりました(最初からそうしよう)。

とはいえ、どでかいUnihertz Titanをジャージのポケットに突っ込んでいるわけですから、薄手の布地が異様に盛り上がってしまって、なんというか見た目がよろしくありません。

困ったことに反対側のポケットには、通話専用のこれまた重いTORQUE G03も突っ込んでいましたので、なんと申しましょうか、「今にもずり下がりそうなジャージのズボンをひもで絞めつけて何とかこらえている」みたいなどうにも情けない見た目になっていたわけです。

どんなときでもファッショナブルでいたい筆者の美的感覚的にこの状況は許せません(みんなー、イスから転げ落ちて腹を抱えて大笑いするんじゃない)。

「ならば、ポケットに入れるんじゃなくて、ベルトにつけるウエストポーチタイプのスマートフォンケースを使ってみたら?」と思うかもしれませんが、残念なことにジャージじゃベルトは使わない。

んんー、これは困った困った。っとそのとき、あるスマートフォンケースの存在を鮮烈な動画イメージとともに思い出したのです。筆者は即座にその動画を撮影したあるガジェットライターさんに連絡を取りました。