ラジオ業界に関わる様々な人を掘り下げる連載「ラジオの現場から」。今回登場するのは、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の金子司ディレクターだ。現在は『三四郎のANN』、『ファーストサマーウイカのANN0』、『Creepy NutsのANN0』を担当している。

この秋から『オールナイトニッポン』のチーフディレクターに就任。また、クリスマス恒例の『第46回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』(24日12:00~翌25日12:00)も取り仕切ることになった金子ディレクターに、今後の意気込みと音楽好きらしいディレクター論を語っていただいた。

■あの年末特番は「周りの人からはすごい言われた」

  • 金子司

    金子司氏

――ファーストサマーウイカやCreepy Nutsとは違って、三四郎の場合、前任の石井玄さんに代わって、途中から番組に入るという形になりました。それはそれで難しさもあるんですか?

出来上がっているところはあるんですけど、探り探りではあるものの、新しく入ってきたからこそできることはあると思っているので。と言いつつ、キャラ付けがされてしまっていたので……。

――やはり年末特番からの流れを引きずって、いじられやすい雰囲気にはなってますよね(笑)。

恥ずかしながら(苦笑)。

――リスナーは気になっていると思うんですが、年末特番で“いろいろ”とありましたけど、ああいうときは会社側からなにか言われたりするんですか?

実はあんまり知られてないと思います。年越しでの出来事ですから。僕もなかったことにしてますし(笑)。ただ、周りの人からはすごい言われましたね。『ANN0』で2回単発をやっているハルカミライの橋本(学)君からは「年末の放送、メッチャよかったですよ」と言われたんです。アーティストのラジオの話をされていると勝手に思い込んで、「年末になにか担当したっけなあ……? ああ、東京スカパラダイスオーケストラだ!」と話してみたら、「いや、金子さん本人の……」って。「あれはよくないですよ」と伝えました(笑)。基本的にいいことではないので。

■「自分の立ち位置は自分で見つけるしかない」

――三四郎でもCreepy Nutsでも作家の福田卓也さんと一緒に仕事をされているというのは、ニッポン放送の番組に関わった経緯を考えると、感慨深いですね。

“アチい”ですよね、アルピーの『ANN』を手掛けていた方と一緒に仕事をさせてもらっているのは。すごく勉強になりますし。ANNを担当する上で1番影響を受けたのは福田さんです。もちろんいろんな番組にADでついてたんで、先輩ディレクターからも影響は受けているんですけど、ディレクターって人それぞれやり方が全部違うんですよ。だから、「この人はこういうやり方はあるんだ」という意味では勉強になったんですけど、自分の立ち位置は自分で見つけるしかないんです。

――その立ち位置は番組によっても違うんですか?

そうですね。ウイカさんの『ANN0』では、作家に宮森(かわら)さんがいて、特にウイカさんはやりたいことがたくさんあるので、僕らはそれを形にする立場だなと。『大倉くんと高橋くん』では、僕が途中から入って、お2人が弟みたいに接してくれたので、そういう形でやっていました。各番組で違うので、いろいろと考えながらやっています。

そういう中でも、福田さんと仕事をさせてもらって、メチャクチャ影響を受けているし、Creepy Nutsの『ANN0』では中野サンプラザのイベントという大きな仕事も一緒にさせてもらって。大きな仕事があったたびに、「飯に行こう」と言われているのに、1回も行ったことないですけど(笑)。

――福田さんから特に影響を受けた部分は?

あまり言われたくないことかもしれないですけど、笑いに関してメチャクチャ厳しいんですよ。「なんか適当に喋ってればいいじゃん?」ってたまには思うじゃないですか(苦笑)。けど、福田さんは「もっとこうすれば面白くなる」といつも考えていて。もしかしたら僕と福田さんが合うところかもしれないですけど、「これはカッコいい、カッコ悪い」という感覚があるんです。当然「面白い、面白くない」もあるんですけど、「これやったらカッコいいよね」というのがあるんで。

――先ほどアルピーのANNを聴いたときに、「カッコいい」と感じたとおっしゃってましたが、そこにつながる話ですね。

言葉にするとメチャクチャダサいですけど、「カッコいいラジオをやりたい」というのはありますよ(笑)。Creepy Nutsもカッコいいし。アーティストなんで、それは大前提ですけど。