とんねるず・伊集院光・ナイナイ…鈴木おさむが語る90年代『ANN』

■天野ひろゆき・海砂利水魚のラジオも担当

• くりぃむしちゅーの上田晋也(左)と有田哲平

――当時、同世代の仲間はいたんですか?

ニッポン放送で当時僕と一緒に仕事をしていた人は年上が多かったんですけど、神田(比呂志。ナインティナイン、福山雅治、aikoなどの『ANN』を担当)さんとは年が近かったので、面白い仕事を必ず僕に振ってくれましたね。

――のちに日本テレビで人気番組を多数立ち上げられる安岡喜郎さんもまだニッポン放送にいらっしゃったんですか?

安岡さんとは半年間、天野ひろゆきさん(キャイ～ン)の『MEGAうま!ラジオバーガー!!』をやりました。あの番組が終わったことが安岡さんにとってもひとつの転機になっていると思います。最終回も僕が担当だったんですけど、よく覚えてますね。天野さんが号泣して放送にならなくて。

――いまだにナイナイの岡村隆史さんがいじってますからね(笑)。

安岡さんがとにかくアーティストをチョイスする能力がすごくて、僕の記憶に間違いなければ、槇原さんがANNをやる前に、お試しでいろんなアーティストさんに番組をやってもらってたんですけど、槇原さん以外のラインナップがつんく♂さんとスピッツさんとMr.Childrenさんだったんですよ。

そんな面子がやってて、最終的に槇原さんになったんですよ。つんく♂さんはのちに『ANN』をやりますけど、当時彼らはまだそんなに売れてない時期だったんで、安岡さんの打率は半端ないなと。

『ラジオバーガー』と同時期の話ですが、くりぃむしちゅーさんがまだ海砂利水魚だった頃に、『女子高生サイコー!?裁判SHOW!!』というラジオをやってたんです。僕は一曜日の担当で。当時、同世代のナインティナインさんが売れて、ネプチューンさんも売れて、2人が悶々たる気持ちを毎週吐露していたのを覚えてます。ニッポン放送ってそういうところだったんですよ。

――若いパーソナリティやスタッフの思いが渦巻いていたと。

当時、伴(梨香)さんというディレクターがいて、森高千里さんの番組を担当されていたんですが、僕が20歳ぐらいの頃に「面白いライターを見つけてきたのよ。飯が食えないみたいでさ」と言っていたのがリリー・フランキーさんです。僕も拾われてきた身でしたし、ニッポン放送ってそういう人が集まる場だったんですよ。

リリーさんを森高さんの番組で小遣い稼ぎさせるために伴さんが連れてきて。リリーさんはたぶんそれをキッカケに放送作家みたいなことも始めて、そこから(香取)慎吾くんと(草なぎ)剛くんが一緒にbayfmでやっている『POWER SPLASH』にも関わっていたはずです。

■伊集院光、電気グルーヴ、ナイナイ…「みんな必死でしたね」

• ナインティナインの矢部浩之(左)と岡村隆史

――いやはや演者も作家もすごいメンバーですね。

あの頃は面白いんですよ。伊集院光さんが『Oh!デカナイト』をやってて、電気グルーヴさんも『ANN』をやっていて。伊集院さんも当時は悶々としていたことがあったと思うし、電気グルーヴさんはクレイジーな感じだったじゃないですか。みんなコンプレックスとか、いろんなものを抱きながらニッポン放送にいたと思いますね。

特に電気グルーヴさんには嫉妬していた人も多いんじゃないかなあ。電気グルーヴさんと一緒にやっていた作家の椎名基樹さんが天才すぎて、いまだにリスペクトしていますけど、1回、先輩作家に「お前と椎名の違いは……」ってそば屋でめっちゃ怒られた記憶があります(苦笑)。電気グルーヴさんとその周りにコンプレックスを持っていた人はめちゃくちゃいると思うんですよね｡

――鈴木さんの目には若かりし頃の伊集院さん、ナインティナインさんはどう映っていましたか?

伊集院さんの番組は面白かったですけど、当時はニッポン放送の局側が強かったので、僕から見て苦しそうでしたね。ナインティナインさんは当時アイドル的な人気もあったけど、その中でも毒をラジオで出したりしてて。だから、みんな必死でしたね。僕もそうでしたし。