税金には複数の納税方法があります。私たちは知らず知らずに、いろいろな方法で納税しています。納税の方法だけでなく、税金の算定は、個々の所得ごとに計算式や控除の額などが決められていますが、所得の種類によっては単独で課税されるものや、他の所得と合算して税額を算定するものもあります。どちらかを選択できるものもあるのです。

例えば、株などの配当があったとします。源泉徴収された税額は高いですが、申告すると所得税が戻る場合もあります。しかし、所得が配当分増えたので住民税が高くなります。結果、所得税と住民税の合計は、源泉徴収されたときと比較して高くなったりするケースも考えられます。これからは投資による資産形成も大切といわれています。課税の方法の知識も重要になってきます。

税の納税方式

税金には以下の徴収方法があります。私は個人で仕事をしていますので、報酬は所得税を源泉徴収されて支払われます。それらをもとに確定申告を行って、一旦徴収された税額を再計算し、再計算後の税額を申告納付します。

また、私自身の不動産もありますので、固定資産税などは普通徴収として年4回口座引き落としになっています。住民税、介護保険料や健康保険料は特別徴収されています。配当もありますが、源泉徴収のままを選択しています。

このように、今現在支払っている税金の納付方法とその算定基準を最初にしっかり調べてみてください。

源泉徴収……給与や預貯金の利子など

申告納付……確定申告などにより、税金を納付する方法

普通徴収……個人の住民税、個人の事業税、固定資産税など、地方公共団体が税額を決定するもの

特別徴収……給与所得者の住民税、公的年金受給者の住民税など、会社などが地方公共団体に代わって徴収し納税するもの

賦課納付……納付すべき税額の確定が、租税行政庁の処分によってなされる方式。国税では各種加算税、過怠税、特殊な場合の関税および消費税などがある。地方税では個人住民で、個人事業税、不動産取得税、固定資産税などが賦課課税方式によっている。

印紙納付……契約書などに国が発行する印紙を貼ることによって納税する方法

証紙納付……地方公共団体が発行する証紙を購入貼付することにより納税する

総合課税と分離課税

例えば銀行預金の利子は、金融機関が必要な利子税額を源泉徴収し、国に納付しています。預金者は源泉徴収された残りの金額を預貯金の利子として受け取ります。他の収入と関係なく、所定の税率を徴収されています。これを「分離課税」と言います。

(1)利子所得に該当する利子など(総合課税又は申告分離課税の対象となるものを除く)
(2)私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
(3)私募公社債など運用投資信託の収益の分配に係る配当
(4)懸賞金付預貯金などの懸賞金など
(5)金融類似商品の補てん金など
(6)一定の割引債の償還差益

申告分離課税制度となっている例としては次のものがありますが、上場株式などの配当所得は、源泉方式のほか、総合課税または申告分離課税を選択できます。

(1)山林所得
(2)土地建物などの譲渡による譲渡所得
(3)株式などの譲渡所得など
(4))特定公社債などの利子などに係る利子所得及び一定の先物取引による雑所得など

一方「総合課税」とは、他の所得を総合して所得額を計算し、課税を行う方式のものです。次のようなものがあります。

(1)利子所得(源泉分離課税とされるものなどを除く)
(2)配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したものなどを除く)
(3)株式などの譲渡所得など
(4)事業所得(株式などの譲渡による事業所得を除く)
(5)給与所得
(6)譲渡所得(土地・建物などおよび株式などの譲渡による譲渡所得を除く)
(7)一時所得(源泉分離課税とされるものを除く)
(6)雑所得(株式などの譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く)

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。