国民年金の基本を理解した次は、各種年金の仕組みをもう少しみていきましょう。

年金は、高層の建築物をイメージすると理解しやすいです。国民全員が加入する国民年金(基礎年金)は、1階部分に相当します。自営業などは任意の保険に加入しない限り、年金は1階部分のみです。

誰にでもあまねく支給される国民年金が1階ならば、サラリーマンや公務員が加入する厚生年金は2階部分となります。勤務している間は給与から差し引かれていく厚生年金の保険料の一部が、自動的に国民年金部分として反映されていきますので、サラリーマンや公務員の年金は1階部分の国民年金と合わせて2階建てとなり、それだけ年金額も増えるという仕組みです。

生涯第1号被保険者であったと仮定すると、基礎年金は480カ月加入したとしても、年間77万9,300円(平成30年4月~)しかありません。配偶者分と合わせてもその2倍でしかなく、月々13万円弱となり、そこから健康保険や介護保険が差し引かれます。

特に配偶者が亡くなったり、元々単身者であったりした場合は、基礎年金だけでは生活が成り立ちません。そのために任意で加入できる2~3階部分にあたる年金が用意されています。サラリーマンや公務員、第3号被保険者も任意で自分の年金を増やすことができます。

  • 年金制度の仕組み

任意加入の年金のiDeCoとは

では、具体的にどのような任意加入型年金があるのでしょうか。いくつかありますが、近年注目を集めるようになってきているのが「確定拠出年金(個人型: iDeCo)です。

年金の3~4階部分に当たる「確定拠出年金(個人型)」は基礎年金の第1号から第3号までの加入者であれば、誰でも加入できます。加入できない例としては、農業年金の被保険者、国民年金の保険料納付を免除(一部免除、学生納付特例、納付猶予を含む)されている方(障害基礎年金の受給者などを除く)、企業型確定拠出年金に加入している方で、個人型に加入を認められていない場合などです。

iDeCoは転職したり、退職したりしても引き続き掛け金を拠出して、運用を継続できます。掛け金は月々5,000円から1,000円単位で設定でき、年1回変更できます。ボーナス時などにまとめて数カ月分を拠出することもできます。

受け取りは原則60歳からで、加入年数に応じて受け取り開始年齢が異なります。10年以上加入していれば60歳から受け取り可能となります。受け取り方法は年金のように定期的に受け取る方法や一時金で受け取る方法、それらを組み合わせて受け取る方法を選択できます。

運用商品は元本保証商品や投資信託など、自分のニーズに応じて選択できます。それによって運用実績が異なります。また掛け金は全額所得控除の対象で、運用益も非課税となり、受け取る場合も受け取り方法に応じて一定の控除が受けられます。