何かしらの理由で支払えなくなってしまいそうな場合はどうしたらよいでしょうか。そうした場合を想定して、国民年金の保険料と同様に減免措置があります。また、支払わなければどうなるのでしょうか。そもそも、保険料の滞納自体、可能なのでしょうか。詳細を下にまとめましたので参考にしてください。
介護保険料の減免について
災害や失業、または生活が苦しいなどの理由で介護保険料を納めるのが難しい場合は、保険料の減免を受けることができます。自治体によって減免の条件や申請方法は違います。
介護保険料の滞納について
自治体によって異なりますが、納付期限が過ぎてから20日以内に督促状が発行され、督促手数料および滞納金が請求されます。生計を一つにしている配偶者や世帯主にも連帯責任が生じます。
介護保険料を1年以上滞納すると
本来ならば、利用した介護サービスの1割負担ですむところが、いったん全額を支払う必要が出てきます。滞納分の納付が完了したら領収書などを提出し、申請をすることで余分に負担した分の9割が返還されます。
介護保険料を1年6カ月以上滞納すると
介護サービス費用を全額支払うことになり、さらに後日申請すれば払い戻されるはずの金額が一時的に差し止めになります。差し止められた介護保険給付額を滞納している介護保険料に充てるケースもあります。つまり、払い戻しの請求をしても、戻ってくるはずの9割部分が戻らないということになるのです。
介護保険料を2年以上滞納すると
滞納期間に応じた一定期間、自己負担金額が1割から3割に引き上げられます。またその期間中は、高額介護サービス費などの支給を受けられなくなります。保険料は納付期限から2年を経過すると、時効により納められなくなるので注意が必要です。
厚生労働省によると、平成27年度の公的年金加入者数は、厚生年金被保険者数が4,129万人、国民年金第1号被保険者数が1,668万人、国民年金第3号被保険者数が915万人となっています。国民年金第3号被保険者数とは専業主婦らを指し、原則64歳以下は介護保険料を支払わなくもよいことになっています。
組合によって異なるようですが、会社が属している健康保険組合によっては、専業主婦ら配偶者の保険料を社員の介護保険料に上乗せして徴収するケースもあるそうです。ただ、人数構成比的に支え続けるのは無理なのではないでしょうか。
平成30年の介護保険制度改正により、2018年8月から一定以上の高所得層の自己負担割合が2割から3割に引き上げられます。今後も介護サービスの需要は増えていきますので、サービス原資はますます不足するでしょう。親や自分たち、さらに子どもたちがいずれ必要になるかもしれない介護の問題に対して、制度をよりよいものにするために、誰がどのように負担するのがよいかは、国民全体で考える問題です。
※写真と本文は関係ありません
■ 筆者プロフィール: 佐藤章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。