第3問解答

☗4一飛

実力制名人戦の発足は昭和10年。その18年前に、この勝負がありました。当時、十二世名人の小野五平は高齢で名人の継承者問題が持ち上がっていました。筆頭候補は関東の関根金次郎でしたが、関西では阪田を推薦する声が大きくなっていました。50歳近い関根は近年の成績で阪田に押され気味だったからです。

そして本局直前の対局でも関根は阪田に敗れていました。阪田名人誕生の機運が高まったとき、その前に立ちふさがったのが関根の弟子の土居でした。土居の次の一手は☗4一飛。これが詰めろです。阪田は大長考で☖9三飛と打ちましたが、これは詰めろではなく☗4三歩成(図)で先手勝ちが決まりました。

盤寿記念! 木村義雄から藤井聡太まで、名人戦の記録と記憶がここにある

名人戦の歴史と対局を紹介。序章、「名人と名人戦の歴史」に始まり、第1部では「偉大な名人の物語」と称して、第1期~第81期名人戦の名勝負を次の一手形式で紹介。さらに第2部では「天才たちの順位戦」と称して、順位戦の名勝負も一部、紹介しています。 最も歴史ある名人戦は、いろいろなドラマを生んできました。ぜひ読者の皆さまにも対局者になったつもりで、名人戦の名勝負を堪能してほしいと思います。

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