薬とサプリメントは併用していても問題ないのだろうか

薬とサプリメントは併用していても問題ないのだろうか

薬剤師として30年以上のキャリアを誇るフリードリヒ2世さんが、日常のさまざまなシーンでお世話になっている薬に関する正しい知識を伝える連載「薬を飲む知恵・飲まぬ知恵」。今回はサプリメントに関するお話です。

製薬会社がサプリメントを売る時代

薬よりも手軽にセルフメディケーションの道具として使えるサプリメントを利用する人が増えています。中には薬並みに「効き目」を売り文句にしているケースもありますが、製造・販売については薬ほど法的規制は強くありません。

「しょせんサプリはサプリ、薬ほど効くわけはない」というのは基本的に事実ですが、某自動車保険会社のテレビCM風に言えば「サプリを甘く見てはいけない」です。

欧米でのサプリ利用度は日本以上です。その波は日本にも押し寄せてくるでしょうし、もう既に来ているのかもしれません。一つの製薬会社がサプリメントとOTC薬と医療用医薬品のすべてを自社商品として売るのは当たり前です。

個人的には「製薬会社はサプリメントに入れ込まず、本命の新薬開発に邁進してほしい」と思いますが、各社にはそれぞれの経営事情があるので「ないものねだり」かも知れません。というわけで今回のテーマは「薬とサプリメント」です。

健康食品と医薬品の違いとは

サプリメントの元の言葉は英語のsupplement。辞書によると「補足、補給、追加、補遺、増補」といった意味があります。ここでの対象は「補給」という意味のサプリメントです。サプリメントは「健康食品」に分類されることもあります。細かく言うと、健康食品とは「健康の保持増進に資する食品全般」のことを指し、サプリメントとは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」のこととされています(厚生労働省の「健康食品」のホームページより)。

もしも「特定成分が濃縮された錠剤」が「健康の保持増進に資する食品」だったとしたら、サプリメント=健康食品としてとらえることができてしまいますよね。要するに、健康食品とサプリメントにはっきりとした違いはなく、その境界は非常にファジーだということです。

ではサプリメント(健康食品)と薬は何が違うのでしょうか。健康食品やサプリメントは、毎日の食事だけでは不足しがちな栄養素を補うことを主な目的としています。ヒトの自己治癒力や免疫力を高めるといった予防効果の向上を期待しているわけです。含まれる成分も、ヒトが本来持っているものとだいたい同じ自然の成分が多いです。

一方、医薬品は病気や症状の治療を主な目的とするものです。医薬品にはヒトが本来持っている自然の成分以外の成分が多く含まれています。医薬品の中には医師しか処方できない医療用医薬品と、処方箋は不要で一般販売が可能な一般用医薬品があることは、以前に書いたとおりです。

保健機能食品誕生の経緯

はっきりと言えることは、サプリメント(健康食品)は医薬品ではなく、分類上は普通の「食品」なのです。食品は医薬品のような「薬効表示」が法律で禁じられています。ところが、あたかも薬効を期待させるような健康食品が市場に氾濫しています。

このため、厚生労働省は保健機能表示や規格基準を見直して(2001年4月施行)、新たな分類法を決めました。新分類では、保健表示ができる食品を「保健機能食品」とし、国はサプリメントの「効果」に一定の「お墨付き」を与えました。

許可されている表示とは「整腸」「コレステロール・血圧調節」「骨・歯の健康維持」「血糖調節」「体脂肪調節などやビタミン・ミネラルの栄養効果」についての健康増進メッセージです。がんや高血圧、糖尿病などの疾病に効果があるといった表示はできません。