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【答え】トヨタの2代目「クラウン」
答えはトヨタの2代目「クラウン」です。
クラウンの初代は1955年(昭和30年)に誕生しました。トヨタで最初の量産市販乗用車です。そして7年後の1962年に2代目へとモデルチェンジしました。
トヨタにはクラウン以前にも「SA」という小型車がありましたが、第二次世界大戦後の物資不足などにより、大量生産には至らず販売終了となりました。広く販売されたという意味では、クラウンが最初の量産市販車といえます。
クラウンの初代から2代目までの間に、日本では小型車(5ナンバー車)の規格が変更になりました。全長がそれまでの4.3m以下から4.7m以下となったため、トヨタは2代目クラウンを規格の範囲内で大型化しています。
トヨタは初代クラウンからアメリカ車の外観を手本とする造形を行っていました。2代目クラウンはテールフィンデザインの流行が去ったあとの3代目シボレー「インパラ」(1961年~)に似た姿といえそうです。
外観におけるアメリカ車の影響はクラウンに限りません。のちに競合として販売台数を競い合う日産自動車の初代「セドリック」も、アメリカ車からの影響を受けています。具体的には「ラップアラウンドウィンドウ」と呼ばれる側面に回り込むフロントガラスの形状や、縦に並んだヘッドライトなどがそれです。1950年代後半のキャデラック「セビル」がラップアラウンドウィンドウでしたし、1960年代の「エルドラド」は縦に並べた4灯ヘッドライトでした。
アメリカ車の影響を受けたのは、クラウンやセドリックといった日本を代表する上級車種だけではありません。例えばスバルの初代「レオーネ」は、最上級車種の名称が「グランダム」(Grand Am=偉大なるアメリカ)でした。こちらのグレードには、大型バンパーなど北米仕様の装備を一部盛り込んでいました。
ところで、2代目クラウンは、小型車の車体寸法が拡大されたことをいかし、エンジンも大型化していました。初代と同じ直列4気筒エンジンに加え、直列6気筒エンジン搭載車も選べるようになったんです。
さらには、2代目クラウンをベースとする「クラウンエイト」というクルマも登場しました。こちらの車種は5ナンバー枠を超える3ナンバー車体となり、全長は4.7mを超え、車幅は1.8m超となり、見るからに大柄な4ドアセダンでした。そして、アメリカ車の上級車種と同じようにV型8気筒エンジンを搭載していたのです。V8エンジンを積んだのは日本車で初めてのことでした。このクラウンエイトが、のちの「センチュリー」につながります。
クラウンとクラウンエイトの見分け方は、フロントグリルの4灯ヘッドライトの内側ライトから、メッキされたグリルがバンパー側へやや下がる造形なのですが、内側のヘッドライトからすぐグリルが下がっているのがクラウンで、さらに内側へ寄ってからバンパー側に下がる造形となるのがクラウンエイトです。これは、かなりマニアックな話ですが……。
実車を並べて見れば車体の大小で区別できますが、1台だけを見る場合、メッキグリルの造形のわずかな違いが、3ナンバー車体への拡幅の証になります。
最後に、当時のクラウンは「トヨタ・クラウン」ではなく「トヨペット・クラウン」と呼ばれていました。
「トヨペット」とはトヨタが初めて小型車を生産する際の一般公募で選ばれた愛称です。最初に名乗ったのは「トヨペットSA」でした。人々に可愛がられるようにとの願いを込めて「ペット」としたそうです。クラウンより小型の「コロナ」も、当初は「トヨペット・コロナ」と呼ばれていました。1960年代後半から1970年代にかけて、次第にトヨタへと変更・統一されていきます。
それでは、次回をお楽しみに!