問題をおさらい!

  • たま電気自動車

    このクルマの名前は? という問題でした

正解はこちら!

【答え】たま電気自動車

クルマの名前は「たま電気自動車」です。

  • たま電気自動車

    2010年に日産が初代「リーフ」を発売する際、社内有志によって再生され、動態保存された「たま電気自動車」。一般社団法人日本機械学会の「機械遺産」の認定を受けています。この写真は日産の新型EV「アリア」試乗会の際、会場に展示されていたのを撮影しました

1945年の敗戦後、日本ではGHQによる物資統制が行われていたため、ガソリンの流通が不足します。一方で、電力供給は比較的、安定していました。山間部にあったダムが稼働していたことと、大口需要の工場が操業不能の状態にあったことが理由でした。そんな背景もあり、時の政府はEVの生産を奨励しました。

多くの新興メーカーがEVを生産する中で、戦前の立川飛行機の流れを汲む「東京電気自動車株式会社」が生産した「たま(E4S-47型)」は、政府主催の第1回性能試験で航続距離96km、最高速度35km/hというトップの成績を収めて注目されました。

  • たま電気自動車

    アリゲーター型ボンネット、埋め込みランプ、フード打ち抜きグリル、木骨鉄板張りボディ、カセットバッテリーなど、画期的な構造を採用していました

  • たま電気自動車

    シンプルな「たま電気自動車」の室内が見事に再生されています

  • たま電気自動車

    スピードメーター横にはEVらしく電流、電圧のメーターが並んでいます

  • たま電気自動車

    前進、後進の変速レバー

  • たま電気自動車

    TAMAのエンブレム

  • たま電気自動車

    アポロウインカーを採用していました

生産した工場が多摩地区(現在の府中市)にあったことから「たま」と名付けられたこのEVは、全長3,035mm、全幅1,230mm、全高1,618mm、車重1,100kgとコンパクトなサイズでした。搭載するのは日立製のモーターで、出力は3.3kW(4.5PS)。電池は湯浅蓄電池(現GSユアサ)製の鉛電池を採用し、カセット交換という画期的な方式になっていました。生産台数はⅠ型、Ⅱ型を合わせて228台。主にタクシーとして使われていたようです。

  • たま電気自動車

    「たま電気自動車」とサイズ的に最も近い日産の現行EVモデル「サクラ」。一充電走行距離は180km、最高速度は130km/hと性能は格段に伸びています

1950年に勃発した朝鮮戦争の影響で鉛の価格が暴騰したことと、ガソリンなど石油製品の需給が安定したことで、自動車のパワーソースが内燃機関に移ったことから、「たま電気自動車」は生産を終了しました。

東京電気自動車はのちにプリンス自動車工業となり、合併によって現在は日産自動車となっています。長い時を経て日産が再び製造を開始したEVの「リーフ」「アリア」「サクラ」のルーツが、この「たま電気自動車」だったのです。

  • たま電気自動車

    床下にバッテリーを搭載しているためフロアが高く、乗り込むと少し窮屈な運転姿勢を強いられます

それでは、次回をお楽しみに!