問題をおさらい!

  • 日産が作っていたフォルクスワーゲンのクルマとは? という問題でした

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【答え】フォルクスワーゲン「サンタナ」

それはVWの「サンタナ」というクルマです。日本での発売は1984年でした。

日産がVWのクルマを作るようになった背景には、自動車を巡る国際貿易上の問題がありました。

1970年代後半から1980年代にかけて、日本は外貨を稼ぐ目的もあり、積極的にクルマを輸出していました。一方で輸入に関しては、高い関税とともに、欧米と比較するとはるかに厳しい昭和50年度の排出ガス規制が障壁となり、貿易摩擦を生んだのです。単純な比較はできませんが、例えば1980年の日本の自動車生産台数は703万台。そのうち輸出台数は394万台と半数以上を輸出していたのです。一方、輸入台数は4万4,000台程度でしたので、かなりの差があったわけです。

そこで日産は、この問題の解決に貢献するために、1980年にVWグループと自動車分野において全般的な協力関係を樹立することに合意。翌年、サンタナを日本国内で生産する契約を締結したのです。これに基づき日産は、VWからエンジン、トランスミッション、ステアリングギヤなど主要部品の供給を受けるとともに、座間工場にサンタナ専用の生産ラインを新設し、ノックダウン生産を開始しました。この結果として、VWは日本国内のシェアを伸ばすことができますし、日産は新しいジャンルのクルマを市場投入することで新規ユーザーの獲得が見込めるといった思惑もありました。

サンタナは端正なデザインに加え、アウディが開発した2,000㏄直列5気筒エンジンをはじめ、高速走行を想定したサスペンションや長距離を楽にこなせるシートなど欧州車の特徴を備えたクルマで、当時のVWのフラッグシップセダンでした。ボディサイズは全長4,545mm、全幅1,690mm、全高1,395mm。今のマツダ「MAZDA3」(セダン)が全長4,460mmなので、それに近いイメージですね。ただ、MAZDA3セダンは全幅1,795mm、全高1,440mmですから、比べてみるとサンタナはかなりコンパクトに感じるでしょう。

  • 日産がノックダウン生産したフォルクスワーゲン「サンタナ」

    「サンタナ」はアウディが開発した2,000㏄直列5気筒エンジンを搭載していました

日本には前述の5気筒エンジンのほか、ガソリンエンジンの4気筒1,800㏄とディーゼルターボエンジンの4気筒1,600㏄をラインアップ。価格は最も高い「Xi5」が242万円(東京価格)でした。ちなみに、最初は5速マニュアル(MT)のみでの導入でしたが、後にATも追加されました。

  • 日産がノックダウン生産したフォルクスワーゲン「サンタナ」
  • 日産がノックダウン生産したフォルクスワーゲン「サンタナ」
  • 「サンタナ」のインテリア

1991年の生産終了までに5万台が生産されたと伝えられていますので、大きな成功とはいえないでしょう。日産ユーザーからは異質に見えてしまったのかもしれません。

さて、実は日産では、このサンタナ以前にも海外メーカーのクルマをノックダウン生産したことがあるのです。戦後、早急に技術力をつけなければいけなかったことから、日本ではいくつかのメーカーが海外メーカーと提携し、ノックダウン生産を行いました。

日産が生産したのはイギリスのオースチンです。1953年に生産を開始した「A40サマーセット」は、1.2リッター直列4気筒エンジンを搭載したセダンでした。1955年からは「A50ケンブリッジ」に生産を切り替えます。日産はこういったところから自動車製造のノウハウを会得していったともいえるでしょう。

  • オースチンの「A40サマーセット」「サンタナ」
  • オースチン「A50ケンブリッジ」
  • 左がオースチンの「A40サマーセット」、右が「A50ケンブリッジ」

それでは、次回をお楽しみに!