1914年に軽井沢で温泉旅館を開業し、2022年で108年の歴史を数える星野リゾート。「旅を楽しくする」をテーマに、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」のサブブランドを展開し、2022年4月以降は新たに6施設をオープン予定です。今回はそんな新しいワクワクを生み出し続ける星野リゾートに注目! 今こそチェックしたい話題の施設を深掘りしていきます。

  • 「星のや軽井沢」

第2回目は、「一度は泊まってみたい宿」という言葉がしっくりハマる「星のや軽井沢」。せっかく泊まるなら、これはマスト! な情報から、2022年夏にスタートした心と体を整える2泊3日の滞在プランまで、幅広くお届けします。実際に宿泊してみると、いくつもの非日常体験が待っていました……!

『始まりの地「星のや軽井沢」。通だけが知る3つの秘密』を読む

■異国やってきた!? 谷の集落で日常からエスケープ

  • 6月は小ガモにも出会えるシーズン

まずは、憧れのリゾート「星のや軽井沢」の魅力について深掘りしていきましょう。

「星のや軽井沢」は、「谷の集落に滞在する」がコンセプト。浅間山のふもと、自然豊かな軽井沢星野エリアにあり、自然に溶け込みながらリフレッシュ旅ができます。

一歩足を踏み入れると、そこは別世界。「あれっ、どこか違う国へワープしてしまったのかな?」とドキドキ。

  • 庭の手入れをしている、星のや軽井沢のスタッフ

もともと斜面だった場所を生かした棚田の風景が広がる「星のや軽井沢」。約13000坪の広々した敷地には、ゆるやかな川が流れ、水辺の庭園をぐるりと囲うように各施設が配されています。

実は人に、自然に、未来に優しいリゾート。100年以上も前から川の水で自家水力発電を導入している……と聞くと、ちょっと見方が変わりますよね。だから、この美しい風景も見ていて癒やされるだけでなく、これからも風景のひとつであり続けられるよう、自然と調和した空間造りが行われているんです。

カモをはじめとしたたくさんの鳥が羽を休めたり、野生の動物たちがひょっこり遊びに来るのは、自然と共存することを大切にしてきた「星のや軽井沢」だからこそ。

見上げれば、澄みわたる青空。頬をすり抜けるやわらかな風。そして、生命の煌めきを感じられる元気いっぱいの草花たち。空気さえも新鮮に感じられて、思わず深呼吸したくなります。

  • 水辺の癒しを常に感じられる「水波の部屋」

思わず深呼吸したくなるこの気分を、客室でも味わえたら、どれほど心地良いだろう……! 実は、そんな願いも叶えてくれるのが「星のや軽井沢」。

客室は、「水波の部屋」「山路地の部屋」「庭路地の部屋」の3種類に分かれていますが、いずれも窓が大きくとられていて、自然と呼吸し合うような造り。どのお部屋に泊まっても自然をすぐそばに感じられて、窓を開ければゆるやかに流れる水音が心地良く響きます。

「リゾートホテル」と聞くと、緊張してつい肩に力が入ってしまうことがありますが、ここは自然体で過ごせるのが魅力。初めてでも集落の住人になったように、すぐにこの空間に溶け込めます。

  • 夜になると、ぐっと幻想的な雰囲気に

そして「星のや軽井沢」に来たら、ドラマティックな夜の風景を味わうのもマスト。ぜひ時間をとって、この非日常空間を楽しみましょう。空には満天の星空。そして、川面に水行灯のあたたかい光がゆらめき、美しい風景が広がります。

さまざまな場所から風景を楽しめるように椅子が置かれていますが、ベストなビューポイントは「星のや軽井沢」の最北端。「メディテイションバス」から見下ろす景色は、オフィシャルサイトやパンフレットなどでもおなじみの風景です。

ちなみに、この灯りは電気ではありません。船に乗ったスタッフが、手作業でひとつひとつ、ろうそくに火を灯していくんです。もし、タイミングよくその様子を見られればラッキー。風情あるその様子も旅の良い思い出になります。

■石井料理長が提案する唯一無二の和食体験

  • 現在、料理長を務める石井義博さん

次にフォーカスするのは、「星のや軽井沢」の食について。メインダイニングは、前身となる「星野温泉」の開発を手がけた星野嘉助さんの名を冠した「日本料理 嘉助」です。

料理長は、2021年から新たに就任した石井義博さん。「軽井沢はお水がおいしい土地だから、特に出汁にはこだわっているんです。さらに豊かな食材がそろう場所だから、その食材を生かした調理法についても、日々深く考えています」と、親しみやすい笑顔で話してくれました。

続けて「私には漁師の友達がいて、水揚げされたおいしいお魚をここへ直送してくれるんです」と石井さん。

まさかまさか。海のない軽井沢でおいしいお魚が食べられるなんて……! ちょっと意外ですよね。

次からは、そんな石井料理長が手がける驚きとおいしさにあふれた、季節の夕食「山の懐石」をご紹介していきましょう。

  • 山の懐石「初夏」の一例

季節感を大切にした懐石のメニューは、約2カ月に一度のタイミングで切り替わります。筆者が訪れた6月は初夏の献立でした。

グラスに入った先附は、思わず「わ、きれい!」と叫んでしまったフォトジェニックなルックス。抹茶のムース、黄身酢のソース、金時草の葉を煮出して赤みを出した土佐酢のゼリーが層になって重なり、美しい盛りつけにうっとりです。食べ進めるごとに違う味わいに出会えるのも楽しい!

そして、驚いたのがお造り。さすが料理長が太鼓判を押すだけあって、お造りは、どれもずば抜けて新鮮。海の魚と一緒に出てきた川魚である鯉のお造りは、プリッと引き締まり身はコリコリ! 清らかな水で育てられたため、臭みもまったくありません。「鯉がこんなにおいしいだなんて!」と思える、衝撃的な一品でした。

  • 全方位、映える八寸

愛で、驚き、味わう究極の逸品といえば「八寸」でしょう。蓮の葉の上には、季節の食材と一緒にカリッと揚げられた稚鮎がまるで川を泳いでいるように盛りつけられています。プロの技はすごい!

まさに初夏の喜びにあふれた味わいで、360度どこから見てもフォトジェニックです。

  • 先附と合わせるのは、低アルコールでスッキリきれいな味わいの、限定酒「水尾 守」(田中屋酒造店)

実は、酒蔵数が全国2位の長野県。佐久地方では、13酒蔵が協同で新しい日本酒を造る企画「SAKU13(サク・サーティーン)」が行われるほど日本酒づくりが盛んなエリアです。

「日本料理 嘉助」でも、長野の地酒を中心にしたペアリングを楽しめます。日本酒好きなら、ぜひ地酒のペアリングにトライしてみてください。

通常のペアリングのほかに好みのお酒を伝えると、メニュー表にないベストな一杯をスタッフが選んでくれることも!

  • しゃぶしゃぶに合わせて選んでもらった地酒は2種類(2016年に作られた黒澤酒造のヴィンテージ日本酒、極少量だけつくられる貴重な小布施ワイナリーの日本酒)

一夜明けて、2日目の夜。夕食は「日本料理 嘉助」で、「牛しゃぶしゃぶ」を楽しむことにしました。口の中でとろける和牛がおいしいのはもちろんなのですが、何より驚いたのはお出汁のおいしいこと!

カツオの旨味と香りがしっかりきいていて、さっとくぐらすだけで、何もつけなくてもおいしい。しかも、しゃぶしゃぶすればするほど、お肉やお野菜の旨味がお出汁にきゅっと凝縮されていきます。

大ぶりの一枚肉をしゃぶしゃぶする楽しさと、お出汁のおいしさに完全にノックアウト。しめに、小盛のそばを籠に入れて軽く温める信州の郷土料理「投汁そば」を体験できるのも嬉しいポイントです。

  • 光がたくさん入る、ガラス張りの建物「村民食堂」

「星のや軽井沢」は、食の選択肢が多いのも魅力のひとつ。2005年に開業した当初から、宿泊と食事プランを分けた泊食分離のスタイルをとっています。

そこで連泊するなら、ぜひ訪れてほしいグルメスポットもご紹介しましょう。「星のや軽井沢」から目と鼻の先に、星野リゾートが運営する複合施設「ハルニレテラス」や「村民食堂」があります。

筆者のおすすめは、初日はメインダイニングでしっかり食事をとって、2日目はカジュアルに楽しめる「村民食堂」に行くこと。「村民食堂」へは、専用の送迎車で送ってくれるから移動も楽々。季節の食材や定食、一品料理まで幅広く楽しめます。

  • 夏季限定メニュー「和牛のよくばりひつまぶし」(3,600円)

定番メニューもおいしいのですが、ここでは期間限定メニューに注目です。中でも夏季限定の「和牛のよくばりひつまぶし」は、ぜひ味わってほしい!

まずはそのまま牛たたきを味わい、好きな薬味をのせてさっぱりと。最後に特製の胡麻だれに和えた牛しゃぶをのせて、カツオ出汁でしめを。最後の一口まで、幸せな肉尽くしです。

スタミナがつくおいしい肉料理を食べれば、疲れ知らずで夏を乗り切れそう!