介護費用としてどのくらいのお金を準備すればよいかは、とても悩ましい問題です。まったく介護の必要がなく生涯を終える方もいれば、長く寝たきりの生活を余儀なくされる方もいます。どのくらい残せばよいかは、計画のしようがないのが実情です。
それでも、何かしらの準備はしておいて損はありません。考え方として、「現在標準的に介護にかかっている統計値を目安に貯蓄する」「介護保険で賄えないサービスは極力利用しないですむよう、住まいや生活スタイルの見直しをする」「日ごろから節制し、健康を維持する」「多少、身体能力が低下しても収入を得られるルートを作っておく」などがあげられます。
将来介護費用として、いくら用意すればよい
それでは、現在の標準的な介護費用はいくらぐらいになるのか、介護保険の利用率から考えてみましょう。
厚生労働省のデータによると、75歳以上の約4分の1が要介護認定を受けている計算になります。75歳未満の利用率は3%ですので、あまり考慮する必要はないでしょう。
計画としては、75歳くらいから平均寿命+5歳程度まで1割負担すると考えればよいと思います。簡単な目安として、95歳までの20年間夫婦で利用すると
44,400円×12カ月×20年間=10,656,000円
となり、最大1,000万円程度を介護保険の利用料として用意しておけば、1割負担は賄えそうだとなります。実際の利用率は23%なので、通常はもっと少なくてすむ計算です。
介護保険利用料のほかに、在宅介護に必要な費用として一般的な生活費との違いがあるものについて考えてみましょう。高齢になれば医療費は高くなるでしょうが、食費はむしろ少なくなるはずです。その他の費用も、行動範囲が室内だけになれば原則少なくなります。
注意しなければならないのは、リハビリパンツやおむつ代、パット代です。商品によってコストも違いますし、取り換える回数も異なるでしょう。おしりふきなどの関連費用を含めて、月10,000円~15,000円ほどはかかると思います。
要介護認定を受けていれば、原則医療費控除の対象ですが、おむつ代は必要です。施設によっては、かなりの費用を請求するところもあるようです。夫婦で最大30,000円と考えると、相当な負担となります。