ビジネスパーソンならば、一度は確定申告という言葉を聞いた経験があることでしょう。確定申告とは、所得を税務署に申告する手続きを指します。国は税金で成り立っており、企業でも個人でも何かしら収入があれば税金を支払わなければなりません。

企業は決算月の翌々月に決算報告書を提出して納税しますが、個人の場合は確定申告により納税します。サラリーマンは特別なケースを除き、会社を通じて納税するため確定申告をする必要がありません。それでも、サラリーマンでも確定申告が必要な場合や、確定申告を行った方が節税になるケースがあることをご存じでしょうか?

そこで本特集では、確定申告について詳しくご紹介していきます。今回は、「確定申告と医療費控除」についてみていきましょう。

  • 医師による診療や治療にかかる費用は医療控除の対象になります

    医師による診療や治療にかかる費用は医療控除の対象になります(※写真と本文は関係ありません)

家族全員が無病息災でいられればよいのですが、実際はそうばかりともいきません。それだけに、医療費控除の手続きを知っておいて損はありません。確定申告の時期になると、医療費控除だけを申請する方のための列が税務署には作られています。身近なものであればあるほど、正確に制度を理解しておくことは大切です。

医療費控除の対象をチェック

医療費は健康保険などの適用があるとは言え、時として相当の負担を覚悟しなければなりません。そのため、その年1年間に支払った医療費が一定範囲を超えた場合、確定申告によって所得税が削減されることがあります。これを医療費控除といいます。

国税庁によると、医療費の対象となるものには以下の表のようなものがあります。通院の交通費も対象となりますので、忘れずに集計ください。病気やケガの度合いによっては、より専門性の高い病院に交通費をかけて通うケースも少なくありません。タクシーで通院せざるをえないケースもあり、交通費の負担は意外に大きいのです。

  • 医療費控除の対象

    医療費控除の対象

セルフメディケーション税制とは

2017年に施行されたセルフメディケーション税制も、医療費控除をするうえで知っておきたい存在です。セルフメディケーション税制とは、特定一般用医薬品等購入費(医療用医薬品からOTC医薬品に転用された「スイッチOTC医薬品」の購入費)を支払った場合の医療費控除の特例です。

これは、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けれらる仕組みです。

具体的には、その年中に健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っている場合、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額のうち、12,000円を超える部分の金額について、その年分の総所得金額などから控除するというものです(平成29年1月1日以後に適用になり、限度額は88,000円となっています)。ただし、保険金などにより補填される部分の金額を除きます。

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来の医療費控除といずれか一方を選択して適用を受けられます。特定の医薬品が対象ですので一般的ではないかもしれませんが、制度の存在だけは記憶にとどめておいてください。