ビジネスパーソンならば、一度は確定申告という言葉を聞いた経験があることでしょう。確定申告とは、所得を税務署に申告する手続きを指します。国は税金で成り立っており、企業でも個人でも何かしら収入があれば税金を支払わなければなりません。

企業は決算月の翌々月に決算報告書を提出して納税しますが、個人の場合は確定申告により納税します。サラリーマンは特別なケースを除き、会社を通じて納税するため確定申告をする必要がありません。それでも、サラリーマンでも確定申告が必要な場合や、確定申告を行った方が節税になるケースがあることをご存じでしょうか?

そこで本特集では、確定申告について詳しくご紹介していきます。今回は、「確定申告が減税につながるケース」についてみていきましょう。

  • 確定申告、意外と便利じゃん!(※写真と本文は関係ありません)

    確定申告、意外と便利じゃん!(※写真と本文は関係ありません)

サラリーマンにとって確定申告は義務ではありませんが、申告によって所得税が減額される場合があります。どのようなケースが減税につながる可能性があるかを紹介していきましょう。

(1)本年度初めて住宅ローンを借り入れた方

年末に返済期間が10年以上残っている場合、残高の1%の控除(最大40万円)が受けられます。下記の表の通り、年末残高に応じて所得税から控除されます。年収や建物要件、居住要件などによっては適用外となる場合もありますので要件の詳細を確認ください。

  • 種類別住宅ローン控除額

    種類別住宅ローン控除額

初年度は、サラリーマンでも住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要ですが、2年目以降の確定申告は別の申告事項がない限り不要です。2年目以降、給与所得者は住宅ローン年末残高証明書を用意すれば年末調整によって処理され、事業者の場合は住宅ローン年末残高証明書とともに確定申告を行うことにより適用されます。

初年度は控除を受ける年分の確定申告書を、下記の書類を添付して納税地の税務署に提出します。

・住宅ローンの年末残高証明書
・家屋の登記事項証明書(または請負契約書の写しや売買契約書の写しなど)
・マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カードなど)の提示、写しの添付
・給与所得の源泉徴収書(給与所得者の場合)

(2)医療費控除を受けたい方

本人や家族の医療費が10万円を超えた場合は医療費控除を受けられる可能性がありますので、医療費を集計してみてください。病院などに通院するための交通費も控除の対象となりますので、忘れずに集計ください。通常の確定申告に加え、医療費明細書を添付して提出します。

(3)単身赴任者の「特別支出」控除

共働きや子どもの教育上の問題などで、単身赴任のご家庭は少なくありません。当然、家族のもとへ戻る帰宅交通費は遠距離であれば相当の負担です。

そのために給与所得者が帰宅交通費などの「特定支出」をした場合、その年の「特定支出」の額の合計額が、その年中の給与所得控除額×1/2を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度があります。

その他、資格取得費なども対象になり、必要書類を添付して確定申告することによって減税される場合があります。