なお、今回は、ワールドクラスのプレイヤーが一堂に会する大変稀少な機会だったので、海外勢にインタビューしてきました。
ちょうど「TWC」で通訳として活躍していたガンファイト選手がいたので、差し入れの鯛焼きを渡したところで、こちらの取材の通訳もお願いしてみました。もちろん快く引き受けていただきました。まずはEndingWalker選手です。
――今回の「TWC」で対戦を楽しみにしていた選手は誰ですか。
EndingWalker選手(以下、EW):MenaRD選手は「CAPCOM CUP IX」で敗北してしまったので、リベンジをしたいと思っていました。日本の選手だと、ふ~ど選手。まだ対戦したことがない選手ですが、神レベルのプレイヤーだと思っています。私の周りには高いレベルでポイズンを操る人がいないので、ぜひ戦ってみたいです。
――今回「TWC」に出場していない選手で対戦したい選手はいますか。
EW:ぷげら選手ですね。私は攻撃的な戦い方をするので、守り重視の戦い方をするぷげら選手と対戦したいと思います。あとはウメハラ選手ですね。ウメハラ選手はもう理由とかを超えて対戦したいです。
――「CAPCOM CUP IX」に参加した感想を教えてください。
EW:大会に出られたこと自体、すばらしいことですが、それ以上にハイレベルのプレイヤーと大会以外でたくさん対戦できたことです。大会は緊張せずに楽しめました。
――『ストリートファイター6』への意気込みを教えてください。CAPCOM CUPの賞金100万ドルを獲得するための秘策はありますか。
EW:『ストV』では弱いと思って使わなかったんですが、『スト6』では「ザンギエフ」を使いたいです。賞金100万ドルについては、まあ、運が良ければですね(笑)。もちろん全力で戦いますけど、みんな強いですから。もしかしたら、今年もMenaRD選手が優勝するかもしれません。
――日本の印象はいかがでしょうか。
EW:今まで行ったことがある国の中で一番気に入っています。食べ物がすごく美味しいです。
――EndingWalker選手は若くして、そしてプレイ経験が短い中でトップステージで活躍するようになりました。その秘訣を教えてください。
EW:うーん、秘訣と言えるものはないんですけど、とにかく楽しんでプレイしてほしいですね。『ストV』『スト6』はゲームなので、楽しんで遊ぶのが一番です。楽しんで続けていけば強くなると思います。
続いてMenaRD選手にインタビューです。
――今回の「TWC」で対戦を楽しみにしていた選手は誰ですか。
MenaRD選手(以下、Mena):今回出場する選手は全員対戦経験がある選手ばかりです。なので、全員倒して優勝したいですね。
――今回の「TWC」で出場していない選手で対戦したい選手はいますか。
Mena:Daigo(ウメハラ選手)! 今回の「TWC」のような長期戦の戦いだと、Daigoは特に強さを発揮するので、自分の実力を試してみたい。
――「CAPCOM CUP IX」に参加した感想を教えてください。
Mena:2回目の優勝をすることができました。それ以外の思い出としては、大会以外の野試合でいろんな選手と対戦ができ、話ができたことですね。コミュニティの雰囲気があって良かったです。
――『ストリートファイター6』への意気込みを教えてください。CAPCOM CUPの賞金100万ドルを獲得するための秘策はありますか。
Mena:『スト6』は体験版やβ版をやってみて、オンライン回戦の環境が良くなったと思います。そのおかげでドミニカ共和国から北米の選手と対戦することができ、対戦相手が一気に増えました。
賞金の100万ドルは確かに大きな額ですけど、お金のために『スト6』をやるつもりはないし、大会に出るわけではないです。今回、「CAPCOM CUP IX」で優勝でき、2回目の優勝という歴史に残る記録を達成できました。今後ももっと勝って歴史に名を刻みたいです。
――日本の印象はいかがでしょうか。
Mena:日本は対戦格闘ゲームのコミュニティが盛り上がっていて、すごくうらやましく思います。ドミニカ共和国でも、もっとコミュニティが盛り上がってほしいな。
――ドミニカ共和国のゲーム事情やeスポーツ事情について教えて下さい。
Mena:eスポーツは対戦格闘ゲームが人気です。私が世界で活躍したことで、知名度が上がっています。自分で言うのもなんですが、ドミニカ共和国ではヒーロー的に扱われており、対戦格闘ゲームを広めたと言っても過言ではありません。対戦格闘ゲームでは、『ストV』ももちろん流行っていますが、『大乱闘スマッシュブラザーズ』の人気も高いですよ。
次はMister Crimson選手にインタビューです。
――今回の「TWC」で対戦を楽しみにしていた選手は誰ですか。
Mister Crimson(以下、MC):ときど選手ですね。日本のプレイヤーの中でもとても大事な人です。対戦場所に招待してくれたり、ご飯に連れて行ってくれたり、いつも優しくしてくれます。
――今回の「TWC」で出場していない選手で対戦したい選手はいますか。
MC:もけ選手です。野試合をしたときはすごくキツかった。「ラシード」は元々キツいんですが、もけ選手の「ラシード」は、よりキツかいと感じました。
――「CAPCOM CUP IX」に参加した感想を教えてください。
MC:1週間もの間、大会があって、スケジュールに余裕があったのは楽で良かった。大会までの準備もできました。グループリーグもラウンドロビンのリーグ戦だったのはよかったですね。
――『ストリートファイター6』への意気込みを教えてください。CAPCOM CUPの賞金100万ドルを獲得するための秘策はありますか。
MC:すでに世界中で『スト6』は盛り上がっていると思います。『ストV』は日本選手が強かったので、『スト6』では追いつきたい。100万ドルの賞金は大きいけど、結局はいつもと同じ感じかな。賞金以上に大事なのはチャンピオンになることだから。
――日本の印象はいかがでしょうか。
MC:今回で4回目の来日になります。いつも楽しく過ごせています。みんな優しいですよね。また何度でも来たいと思います。
――日本には3大ダルシム使いと呼ばれる存在がいますが、Mister Crimson選手が考える世界3大ダルシムは誰でしょうか。
MC:まずは自分を入れておいて(笑)、鶏めし選手。あとはアメリカのSabin選手かな。
最後にZhen選手にインタビューです。
――今回の「TWC」で対戦を楽しみにしていた選手は誰ですか。
Zhen選手(以下、Zhen):ひぐち選手ですね。ひぐち選手が使う「ガイル」は私が使う「ベガ」にとってキツい組み合わせです。さらに世界のトッププレイヤーと対戦したらどうなるのかやってみたいです。
――今回の「TWC」で出場していない選手で対戦したい選手はいますか。
Zhen:Shuto選手です。彼のプレイスタイルは本当に良いです。「CAPCOM CUP IX」のときに少し対戦しましたけど、反応がすごく良いですね。今回の「TWC」のように長い対戦をしたらおもしろいと思います。
――「CAPCOM CUP IX」に参加した感想を教えてください。
Zhen:すごく良い経験になりました。初めて大きな大会に出場しましたし、自分がどれだけ勝ちたかったのか理解しました。
――『ストリートファイター6』への意気込みを教えてください。CAPCOM CUPの賞金100万ドルを獲得するための秘策はありますか。
Zhen:『ストV』の終わりでちょっとだけ活躍することができました。『スト6』ではもっと活躍できるようになりたいですね。自分は選手として若いほうなので、若さを全面に押し出していきたいと思います。
100万ドルはすごい賞金ですよね。ほかのeスポーツではそのくらいの賞金はありますけど、対戦格闘ゲームでは初の金額なので驚いています。大会も増えて、新しいプレイヤーと会えるのも楽しみ。参加しながら楽しんでいければと思います。
――日本の印象はいかがでしょうか。
Zhen:日本に来たのは今回で4度目です。日本に来るたびに、日本のトイレに感心します。シャワートイレはすごいです。あとは食事がすごく美味しいことと、対戦格闘ゲームの強い選手がたくさんいるところですね。
――「CAPCOM CUP IX」の「LCQ(最終選考予選)」では、数々の強豪プレイヤーがひしめきあう中、優勝しました。多くの日本人プレイヤーを倒して、“日本人選手キラー”としての異名を得るほどの活躍でしたが、対戦した日本人選手で印象に残った選手はいますでしょうか。
Zhen:ももち選手です。あの立ち回りのレベルは、これまでに出会ったことがありませんでした。ほかのプレイヤーができないことをやってのけています。あとは「LCQ」の決勝戦であたったキチパ選手です。彼は「ベガ」との対戦について良く理解をしている選手でした。本当にキツい相手でしたが、キチパ選手のちょっとしたミスの差で勝つことができました。
――みなさん、ありがとうございました。そしてガンファイト選手、ご協力感謝します。
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「CAPCOM CUP IX」で日本選手は、海外勢の想定外の戦い方、戦略に結果を残せませんでした。しかし、今回は完璧に対応し、日本の強さを示せたと思います。
また、取材をしていて、これで本当に『ストV』が納まった気がしました。もちろん『ストリートファイター』シリーズはどのナンバリングも現役でプレイしている人がいるので、『ストV』もこれからずっとプレイされ続けていくとは思います。しかし、競技シーンのメインストリームとして採用される機会はこれで最後と言えるでしょう。日本のeスポーツシーンを牽引し、多くの人に感動を与えてきたことに感謝したいと思います。
(写真:志田彩香)