2012年の法案成立で、2015年から10%に上がるはずだった消費税は施行期間が延長となり、2018年の現在も8%のままだというのはご存知のとおりでしょう。
安倍内閣は2014年4月に予定通り8%へと増税しましたが、3%の負担増は国民のお財布には厳しいものがありました。増税直前の駆け込み消費、その反動による消費低迷などの影響で、同年11月には予定されていた10%への引き上げを2017年(平成29年)4月へと1年半延期することが決定されました。
このニュースは多くの一般消費者にとっては喜ばしいことだったものの、その後も個人消費は停滞ムード。日本の景気は足踏み状態が続いていたこともあり、2016年6月には10%への増税を2019年10月へと再延期することが決定されました。
振り返れば、消費税率10%が予定されていた時期から合計4年間、家計への負担増が延期されることになったわけです。さらなる延期を望む人もいるかもしれませんが、その間、政府は軽減税率の適用を決めるなど、家計への負担抑制も検討しています。このままいけば、2019年10月から消費税が10%となる予定です。
日本は海外に比べて消費税率が低い
消費税が導入されて約30年経った今、消費税の存在は受け入れていても、税率が高くなるほど疑問を感じる人もいるかもしれません。というのも、商品価格が同じ1万円のものでも、レジで出すお金は10,000円、10,300円、10,500円、10,800円と増えていき、そして11,000円になります。10%の税率を「高い」と思う人も少なくないでしょう。
しかし世界に目を向けてみれば、10%の税率は決して高いとは言い切れません。国によっては消費税のことを「付加価値税」という名前で呼ぶところもありますが、例えば、世界で初めて導入されたといわれるフランスでは2018年1月現在、20%の税率が課せられています。隣国のドイツでは19%、イギリスは20%、そして社会保障が充実していることで知られるスウェーデンでは25%。日本の2倍以上の消費税が課せられている国々も多くあるようです(2018年10月時点)。
そもそも消費増税の背景には、社会保障の充実や財政再建という目的があります。家計への負担増は強いられますが、他緒国のように社会保障が充実した、安心して暮らせる社会になることを期待したいですね。
※参照: 内閣府「消費税の歴史」および財務省「消費税に関する基本的な資料」
■ 筆者プロフィール: 續恵美子
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。ファイナンシャルプランナー(CFP)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。