日本における挨拶は「お辞儀」で始まり「お辞儀」で終わりますが、西洋では相手の目を見て直立し、緊張していることが友好の姿勢を示すとされているので、挨拶は「ハグ」や「握手」が主流になります。
しかし相手を抱擁する「ハグ」はまだまだ日本人には馴染めない挨拶といえますので、外国の方々をお迎えするときのグローバルな挨拶方法はやはり「握手」といえるでしょう。
握手は「あなたに対する敵意はありません」「手に武器を持っていません」ということを示し、お互いの絆・信頼を深めるという意味があります。そしてそこにもしっかりとしたマナーとルールがあります。
1.まず、握手は原則「右手」で行います。
紙がとても貴重な一部の国では、トイレで用を足した後、トイレットペーパーを使うのは紙がもったいないので、バケツの中に水を入れて、左手をその水に濡らしてお尻を拭いて処理するところがあります。そういった国々では左手を「不浄の手」と言い、左手で握手をしようと差し出すと「相手を嫌う・嫌っている」という意味になってしまいます。たとえ左利きの人でも、握手をするときには右手でしましょう。
2.左手を使わないようにするわけですから、日本人がよくやるように、両手で相手の手を握るのもマナーとしてはよい握手とはいえません。
例えば芸能界の方が握手会で「私のファンになってください」とファンの方の手を両手で握るとき、政治家が「私に清き一票を!」と街頭演説で街の聴衆の方々の手を両手で握るときなど、何かお願いをしたいときの握手を「おねだりの握手」といいます。
外国人を迎えるときのグローバルな握手は、右手だけでしっかりと相手の右手を握って行ってほしいと思います。
3.日本人は、頭を下げてお辞儀をしながら握手をする人が多くいますが、そうすると、挨拶で最も大切なアイコンタクトができなくなってしまうので、外国人から見れば奇妙な挨拶になってしまいます。握手をするときは頭を下げず、しっかりと相手の目を見て言葉を交わしながら握手をしましょう。
4.アメリカでは弱いホワーンとした握手は「Dead-Fish-Handshake」と言って、「死んだ魚を握っているようで気持ち悪い」という意思表示とされてしまいます。相手の手を握るときは強過ぎず、弱過ぎず、しっかりと親しみを込めて握りましょう。
握手における挨拶の順序
先にも述べたように、日本の挨拶は目下から目上に、部下から上司に先にするのがマナーです。しかし握手は相手の身体に触れる行為ですので、その行為をするかしないかを決めるのは上位者、年長者がすることになります。従って、欧米では、目上から目下へ、先輩から後輩へ、上司から部下へと手を差し出すのがスマートであり、プロトコール(外交儀礼)になります。
同様にレディファーストの文化である欧米では、女性をとても大切にしていますから、その握手をするかどうかを決めるのは女性。女性側から手を差し出すまでは男性からは手を出さないのがルールになります。レディファーストは何よりも優先される文化ですから、女性の皆さんは、たとえ相手がご自身より年配の方であっても、エレガントに手を差し出してあげましょう。
外資系の会社に入社する人はもちろん、仕事で外国人と接するときも、旅行で海外に行ったときも、さらにオリンピック・パラリンピックなど国際的な大会で外国人をお迎えするときも、グローバルな握手ができる国際人を目指していただきたいと思います。
「挨拶」は「心を開いて相手に近づく」という意味であり、ビジネスマナーの基本です。
あ あかるく(明るく)
い いつでも、いきいきと(生き生きと)
さ さわやかに、さきに(先に)
つ つづけて(続けて)、つとめてみずから(努めて自ら)
というキーポイントを心得たうえで、自分から率先して、明るく笑顔、笑声で、さわやかに挨拶していただきたいと思います。